被爆者相談所および法人事務所
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【連載】知っておきたい放射線の豆知識 放射化学者 佐野博敏

(18)核兵器の残虐性とは

 核兵器の威力は、TNT火薬の破壊力(エネルギー量)に換算して表わされることが多い。ヒロシマ原爆ならTNT換算15キロトン相当、ナガサキ原爆ならTNT換算22キロトン相当という具合に、である。しかし、このような「機械的破壊力」での数値化だけでは、原爆=核兵器による被害の多重性の本質はつかめない。
 一般に軍事兵器は人や物の破壊を目的としているので、戦時にはたいてい残虐で非人道的な使われ方をするが、核兵器は、通常兵器とは明らかに異なる特性を持っている。
 原爆の熱線は数千度にもおよび、衝撃波は音速を超える。TNT換算の破壊力だけでも、人は身を焼かれ、倒壊建築物に押し潰され、爆発に伴う陰圧で内臓破裂などが起こる。さらに、通常兵器にはない核分裂反応由来の中性子線、高速原子核粒子線、各種放射線の被害を受ける。
 核分裂のエネルギーは物理的破壊力の他に、様ざまな波長の電磁波にもなる。その中には電子レンジのようなマイクロ波もある。生卵を電子レンジにかけると、マイクロ波が卵の水分を加熱して内部から沸騰する。皮膚が膨張・破裂した惨状は被爆者の絵にも多く見られるが、体内の水がマイクロ波で加熱された現象だ。
 核兵器は、これでもかというぐらい相乗的・複合的に人の営みを壊し尽くして命を奪う。運よく生き残っても、後遺症等の苦痛を与え続け、「残虐以上」の現実を生み出す。