被爆者相談所および法人事務所
〒113-0034 文京区湯島2-4-4平和と労働センター6階
電話 03-5842-5655 ファックス 03-5842-5653
相談電話受付時間
平日 午前10時から午後5時、土曜 午前10時から午後3時

【連載】知っておきたい放射線の豆知識 放射化学者 佐野博敏

(13)外部被曝とその安全性

 身体の外から放射線を浴びるのが外部被曝だ。前回述べたポケット線量計やサーベイメーターなどを使えば、ある期間、ある場所の外部被曝線量は計測できる。例えば、地表約1メートルの高さで毎時5マイクロシーベルト(5μSv/hマイクロシーベルト パー アワー)の計測値の場所では、そこに1年間住み続ける場合の被曝線量は24時間×365日を掛けて、5×(24×365)=43800μSvマイクロシーベルト/年=43.8mSv/yミリシーベルト パー イヤー(ミリシーベルト・毎年)の年間線量が算出される。細かくいうと、日本の自然放射線量は年平均約1.5mSv/yミリシーベルト パー イヤーであるから、余計に浴びる放射線量は42.3mSv/yミリシーベルト パー イヤーとなる。
 国際的に放射線防護の基準や勧告を出しているICRP(国際放射線防護委員会)は、100mSvミリシーベルトに達する線量を受ける場合には被曝低減の防護対策が必要だと勧告している。この勧告には批判や賛否があり、別のリスク評価もあるのだが、一般人が生涯で受ける放射線量(生涯被曝線量)は100mSvミリシーベルト以下が望ましいとしているので、前例の42.3mSv/yミリシーベルト パー イヤーなどは、どう考えるか迷うことになろう。
 念のためいっておくと、100mSvミリシーベルトを超えると死に直面するという話ではなく、放射線被曝が原因で何らかの悪影響が発生することがデータに基づいて推定されるため、なるべく放射線を浴びないよう防護した方がいい線量の上限の意味である。
 外部被曝のほか、体内に入った放射性物質からの被曝も無視できない。その測定については次回に述べる。