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【連載】知っておきたい放射線の豆知識 放射化学者 佐野博敏

(6)地球と原子核の歴史

 天然に存在する約100種の元素やその同位体の核種は、約140億年前のビッグバンに始まる宇宙の起源の初期に創成されたと考えられている。その後も恒星は誕生と消滅をくり返し、銀河系の一つの太陽系の惑星として地球が誕生して約46億年が経過している。
 誕生初期の地球には、長短多様な半減期の核種が存在したが、46億年よりも遥かに平均寿命の短い核種は消滅し、現在は寿命が46億年に近い核種のカリウム40(半減期12億年)や、ウラン235(半減期7億年)、ウラン238(半減期45億年)、トリウム232(半減期140億年)などが天然に残っている。
 ウラン235の半減期が7億年で、地球の年齢より短いのに、なお現存するのは、放射性核種の減衰は半減期の10倍を経過すれば約1000分の1には減少しても、当初の存在量が多ければ、完全にはゼロにならないからだ。
 ウランやトリウムからは、ラドンなどのような短寿命の放射性の子孫核種も生ずる。これらも現在の自然界の「自然放射能」の発生源となる。この他、宇宙から地球にも降り注ぐ「宇宙線」や、その核反応で常時生成する僅かな放射性核種もある。
 日本の環境では、私たちは最低で年間約1.5ミリシーベルトの自然の放射線量を受けている。他には、医療行為で平均約2.4ミリシーベルトの放射線量を受けているとされる。