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【連載】東友会の歴史を学ぶ 先人たちと目指す未来2

『沈黙から行動へ 東京のヒバクシャ30年のあゆみ』から
「地区の被爆者運動30年の苦労と前進」(田川時彦執筆)

地区の被爆者運動30年の苦労と前進11

今、被爆者は、地区の会は

 東友会結成30周年を迎える今年(1988年)、東京の行政区23区26市7町8村中、被爆者が居住しているのは、23区26市7町1村になります。
 このうち、会が組織されているところは23区14市となっています。12市7町1村が未組織ですが、この中には被爆者1人だけの奥多摩町、八丈町、檜原村、2人だけの大島町などのところもありますが、12市(799人)の被爆者の組織化は大きな課題となります。
 つぎに、被爆者への各自治体の援護施策の合計を概算してみますと、助成金として635万円余、社会福祉協議会からの配分金228万円余、墓参団やバス旅行など特別事業の助成金が180万円余。被爆者個人への見舞金7074万円余。見舞品664万円余。合計8000万円をこえています。この額は、東京都庁の被爆者対策費をも上まわる実績となっています。
 各地区の会は、これまで、大きな被爆者運動だけでなく、会独自の活動も地道につづけてきました。各自治体の「非核平和宣言」運動にも多くの会が参加し、被爆者として平和を訴えてきましたし、被爆者としての原点を忘れず、広島・長崎への慰霊団派遣、現地へ植樹運動、原爆犠牲者追悼碑の建立、平和モニュメントの建立、そして、会員の要求にこたえる針灸治療券の給付獲得、自治体の被爆者援護条例の実現など、さまざまな実績を積み上げてきました。
 これらの地区活動は、いつの間にか東京全体の、日本全体の運動に点火していることは注目すべきことです。それだけ東京各地区の活動は、日本の被爆者運動の先駆的な役割を果たしてきたことにもなります。

  • 原爆孤老といわれる私です。ともすれば原爆の傷をかかえて、うす暗い部屋の中でふさぎこんでしまいそうです。思い出したくない、話したくもない。忘れよう忘れようとしても思い出すナガサキのあの日です。けれど、それでは生きている値うちがありません。被爆者の会の運動が私には生き甲斐になっています。せっかく残された自分の人生をなんとか被爆者のみなさんのために、そして、平和のために役立てたいと思います。

 被爆者のほとんどは、残された命を数えるような高齢に達してきました。
 しかし、にもかかわらず被爆者は生き甲斐をみつけてきました。自分の人間を回復するために、原爆とたたかってきたこと、被爆者として生きて証言することが、人類の平和の役に立つことも学びました。証言することが、すぐそばで亡くなった犠牲者に対する生きている者の責任でもあると思うようになってきました。そして、そのことは、被爆者として生きる誇りにもなってきました。(東友会事務局長・田川時彦)

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