【連載】東友会の歴史を学ぶ 先人たちと目指す未来2
『沈黙から行動へ 東京のヒバクシャ30年のあゆみ』(伊東壯執筆)から
第4回 巻頭言にみる被爆者運動の思想3
東友会が30年存続したということだけでもある意味では驚くべきことではあるが、それが年をおって発展しつづけ、今日どの点からも最盛状態にあることはもっと驚くべきことである。
しかし、30年間はそれほど坦々たる道ではなかった。1963(昭和38)年の解散の危機をはじめ、多くの紆余曲折を経て、役員も事務局員も新旧交代をしながら、その時々の血がにじむような努力で困難を切り開いて今日に至ったのである。
東友会の根っこである地区の会もそれは同じことである。そしてその根っこの努力こそが東友会の枝葉の茂りを支えているのである。30年史が地区の会の歴史を中心に編集されたのは、そうした考えにたっている。
いずれにしても、東友会・地区の会でこの30年の間、その段階ごとに全力投球をされた多くの役員の方がた、事務局員の方がた、東友会をいつも温かく見守り支援してくださった方がた、そして原爆に粉砕された「からだ」「くらし」に耐えながら、東友会を頼り、それをこころの砦としてくださった多くの被爆者の方がた――その中には今は慰霊碑に眠る方がたも多いが――に深い感謝を捧げる。
それとともに、「30歳の東友会は『はなたれ小僧』、核兵器の全廃と原爆援護法ができるまでは、何年でもがんばらきゃ。それこそが今まで自分の人生の一端を東友会や地区の会に注ぎこんでこられた多くの方がたに報いることになる」ということを自分自身に言いきかせているのである。