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ノーモア・ヒバクシャ訴訟 これまでの経過と今後の見通し

東京弁護団長 内藤雅義(弁護士)

 ノーモア・ヒバクシャ東京訴訟は、2015年10月29日の判決で全員が勝訴した第1次訴訟(民事2部)と、2015年12月16日に結審し2016年6月に判決言い渡しが決まった第2次訴訟(民事38部)があります。ここまでの経過をふまえた今後の動向を、東京弁護団長の内藤雅義弁護士にお聞きしました。

内藤弁護士

 2015年10月29日に判決のあったノーモア・ヒバクシャ東京訴訟の第1次訴訟において、全員勝訴をもたらした要因としては、残留放射線について立証をおこなったこと、聞間ききまはじめ医師に原爆症の出現の流れ全体を証言してもらったこと、個別立証原告の尋問を聞いた裁判官に判決を書いてもらったことがあげられます。悪性腫瘍では9人中8人が確定しましたが、このうち積極認定の範囲外である3人の遠距離被爆が含まれるのが特徴です。非がん疾患は8人のうち、基準外の肝炎1人と心筋梗塞であれば積極認定範囲内の狭心症2人が確定しました。
 他方、第2次訴訟の原告は悪性腫瘍2人、非がん疾患4人であり、判決日は本年6月29日と指定されました。第1次訴訟同様、聞間医師に原爆症の全体の流れをも含めて証言していただきましたが、被告(国側)は同医師の尋問の際には示さなかった放射線影響研究所(放影研)の論文等を書いた医師を執筆者とする意見書を提出してきました。
 第1次訴訟の控訴審でも同様な書証を提出しており、国側は非がん疾患が原爆の残留放射線では起きないとすることを中心論点にしてくると思われます。
 積極認定の範囲外でも、悪性腫瘍では勝訴判決を確定させることができたので、今年は非がんを含めて全体の解決の年にしたいと考えています。