【連載】 現場から見る東友会相談所の40年
相談員 村田未知子
第10回 援護法の制度を活用するために
援護法50問50答
被爆者援護法の制定後に東友会がすすめたのは、制度解説のパンフレットづくりでした。題して「被爆者援護法50問50答―被爆者援護法活用をすすめるために」(A5判34ページ)。「少しでも安く」と東友会のパソコンで版下を作成し印刷所に発注。1冊100円で東友会総会の日、1995年5月28日から頒布。初版1000冊は1週間で完売。2版も同数を印刷し7月末に完売。さらに3刷、4刷をかさね、1年間で合計4000冊に。この数は当時の東京に住む被爆者の半数にも及ぶベストセラーになりました。
この「50問50答」は、1997年度から被爆者援護法・被爆者援護条例を活用するための「25のポイント」(A4判12から16ページ)のリーフレットに編集しなおされ、以後25年間、毎年3000部程度を発行しています。
福祉事業の要求調査
被爆者援護法の残された重要な問題は、38条と39条の福祉施策の実現でした。都道府県がその福祉事業をおこなえば費用の半額を国が出すという制度です。
これが実現すると、当時は被爆者への助成がなかったホームヘルプやデイサービス、特別養護老人ホームの入所などの介護サービス費の自己負担分が無料になります。被爆で親族を失ったり、結婚差別を受けた被爆者は単身者が多く、介護問題は重要です。
東友会は、被爆者の実態を調査したデータを基に東京都に要請しようと、97年1月から3月にかけて「被爆者援護のための要求調査」を実施しました。
調査の責任者は、当時国立大学の学長を務めて多忙だった統計学者の伊東壯会長。調査票は7182人に郵送。2カ月間で2203人、30.7%もの回答をえました。
集計は予算がないため、私が入力用フォーマットをつくり、アルバイトの協力で半年後にデータの打ち込みが終了。集計作業も伊東会長の指示でおこない1997年10月、報告集を刊行し、東京都に要請することができました。
介護保険と被爆者
続いて1998年8月、東友会は、援護法の福祉施策を盛り込んだ「介護保険と被爆者」(A4版4ページ)リーフレットをつくりました。
まったく新しい制度を知り説明書をつくるために、私はふたたび、「ホンモノ」にチャレンジしました。法律や施行令、規則を読み、ケアマネージャー養成講座に通い、関係の書物を読みあさりました。そして、何とか、被爆者との関連を書いた説明書を書くことができました。