被爆者相談所および法人事務所
〒113-0034 文京区湯島2-4-4平和と労働センター6階
電話 03-5842-5655 ファックス 03-5842-5653
相談電話受付時間
平日 午前10時から午後5時、土曜 午前10時から午後3時

【連載】 現場から見る東友会相談所の40年
相談員 村田未知子

第2回 女性に支えられた相談事業

 東友会は、結成から3年半後の1961年4月に、東京都知事から「被爆者健康指導事業」の業務委託を受けました。ちょうど60年前です。
 今(2021年)から35年ほど前、東友会の事務所に積んであった30個ほどの段ボール箱に入っていた草創期からの資料を整理したことがあり、その作業のなかで、初期のころ東京都に提出していた委託事業報告書をみつけました。B4判の報告書の1枚に、10件くらいの相談内容がきれいな文字で几帳面に書かれていました。カーボン紙で複写された報告書に、先輩事務局員の苦労を垣間見た気がしました。
 記録によると東友会は、結成9カ月後から非被爆者の専従事務局員・相談員を配置しています。1999年3月に初めて男性相談員が勤務するまでの40年間は、東友会相談員はすべて女性でした。私もその一員ですが、駆け出しのころは、相談活動のなかでいろいろ考えさせられたのを思い出します。

書類や書類棚、スタンプのケースなど、あふれるほど物が積まれた事務机が接して置かれ、事務局員3人がそれぞれ座って電話応対など仕事をしている。
港区新橋にあった1998年当時の東友会事務所。現在より狭い部屋に3人が常勤。

名乗らない被爆者

 1982年8月、受話器を取ると、相手の声が聞こえません。「どちら様ですか」と聞きます。しかし相手は何も答えません。しばらくたって、「名乗らなければ相談を受けていただけないのですね」と言い、電話が切れました。このことを役員に話すと、「どうして名乗らなかったのか、あなた自身で考えてほしい」といわれ、考えを巡らせました。この事件によって私は、放射線の後障害に不安を抱き、社会的な差別を受けてきた被爆者の現実を肌で感じることができました。

初めての被爆者手帳申請

 翌1983年1月、前任者が退職し、私は一人で勤務することになりました。そんなとき、ひとりの女性から被爆者手帳申請の相談がありました。
 被爆者手帳を申請するには、「2人の証人」などの証明が求められます。この人の場合、軍隊に召集されていた夫と面会するため広島を訪れて被爆したことから、地域や職場、軍隊などの繋がりがなく、証人探しが最も困難な事例でした。
 「警察署長のお宅に泊まった」。この記憶を頼りに、新米相談員は、本人とともに無手勝流に電話をかけ、広島の市役所、被団協、警察署にも協力してもらい、証人を見つけることができました。そのとき、相談員の力量は、人のつながり=ネットワークをどれだけ広げていけるかだと気がつきました。相談員は被爆者に教えられ、育てられていくのだと実感したものです。