被爆者相談所および法人事務所
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【連載】東京にある被爆の実相 (10)移動劇団・さくら隊の殉難碑

 彼岸花が咲き始めた目黒の五百羅漢寺を参拝しました。65年前の広島で、将来を期待されていた移動劇団「桜隊」の団員9人が被爆し、非業の最期をとげました。彼らの死を哀悼し、俳優仲間の徳川夢声が1952年、同寺に「原爆殉難碑」を建立しました。原子爆弾という非人道的な兵器を使用した人類の愚かさに抗議するものでした。
 碑の台座に名前を刻まれた男性2人・女性7人・計9人の団員は、広島での宿舎兼事務所の高野邸で8月6日の朝を迎えていました。その日は山口県への巡業を予定。朝食のあと、原爆の閃光が走りました。爆心地から750メートルのところでした。
 団員のうち5人は焼け跡から遺骨が見つかりましたが、団長の丸山定夫と園井、高山、仲の4人は猛火をかいくぐって奇跡的に逃げ延びました。しかし、発熱、脱毛、喀血などの症状が出て2週間のうちに悶死しました。
 毎年8月6日、五百羅漢寺では「原爆忌法要」として8時15分に打鐘。演劇関係者らでつくる「桜隊原爆忌の会」が主催する「桜隊殉難者追悼会」が営まれています。

五百羅漢寺:目黒区下目黒3-20-11 電話03-3792-6751
交通:東急目黒線「不動前」駅徒歩約8分、JRほか各線「目黒」駅徒歩約12分
(取材・執筆:籾倉積)

「移動演劇 さくら隊」「原爆殉難碑」と彫られた石碑。
さくら隊の原爆殉難碑