【連載】東京にある被爆の実相 (4)原爆で顔だけになった被爆地蔵
そのお地蔵さまは、東急東横線「都立大学」駅から近い常圓寺の境内に鎮座しています。元はこのお地蔵さま、原爆ドームにほど近い広島市細工町の西蓮寺にあり、子育て地蔵尊として地域の人びとに親しまれていました。「あの日」、原爆を受けたお地蔵さまの胴体は粉々に砕け、顔の部分だけが奇跡的に残りました。
当時の西蓮寺住職・香月崇海師は、顔だけになったお地蔵さまを“被爆の生き証人”として大切に保存していました。
その後、香月住職は、原爆孤児が社会問題化するなか青少年の健全育成の活動をしながらGHQの通訳をしていた村山有氏にお地蔵さまを預けました。引き受けた村山氏は、お顔を大谷石にはめ込み、いくつかの経緯ののち目黒の常圓寺に安置しました。
常圓寺では、住職の古河良晧師のお志により、目黒萌友会の方たちといっしょに、毎年8月6日に法要が営まれています。これらのお話は、古河良晧師と都立大学の小林喜平氏からうかがいました。
【お願い】このお地蔵さまの、被爆以前の写真を探しています。情報をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。
常圓寺:目黒区八雲1-2-10 電話03-3717-1021(東急東横線「都立大学」駅から徒歩約5分)
(取材・執筆:籾倉積)