【連載】東京にある被爆の実相 (5)江戸川区原爆犠牲者追悼碑
発端は、江戸川区内の被爆者が簡単に広島・長崎への墓参ができないのを何とかしたいという相談でした。特徴的なのは、被爆者と区民が文字通り手作りで完成させたこと。この碑は、区長の協力で滝野公園の一角に建立が認められ、四国から運ばれてきた縦・横2メートルの自然石に「原爆の図」で著名な画家、丸木位里・俊夫妻が下絵を描き、江戸川区在住の被爆者200余名と区民がノミを振るって彫り上げ、1981年に完成したものです。
この碑はまた「成長する碑」ともよばれ、広島・長崎から送られた被爆瓦の碑、噴水、平和の鐘、広島・長崎両市の木、犠牲者名簿碑などが追加され進化しています。
噴水は区が設置。1日2回、水を求めながら亡くなった人を弔うため、原爆が投下された時間に水が出るようセットされています。
毎年、原爆犠牲者追悼碑の前で被爆者と区民が共同で追悼式が開かれ、被爆者による被爆体験、小中校生による戦争・平和について意見発表などがおこなわれています。
江戸川区原爆犠牲者追悼碑:江戸川区中葛西3丁目22-1 区立滝野公園内(東京メトロ東西線「葛西駅」から徒歩約5分)
取材にご協力いただきました親江会の銀林美枝子会長に謝辞を申し上げます。(取材・執筆:森貞士)