被爆者相談所および法人事務所
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2022年を迎えて 一般社団法人東友会代表理事 家島昌志

家島昌志 代表理事

 新型コロナ禍中に新年を迎えるのは3年目です。これは全く予測できなかった事態でこの先もまだ見通せませんが、このウイルス感染拡大が世界の社会経済に与えた影響は計り知れません。
 2020年8月から22年1月に延期となっていたNPT再検討会議も、オミクロン株の出現による感染拡大によりさらに先送りになりました。
 核保有5か国は新年の3日、核戦争の防止と軍拡競争の回避が重要だとして、「核戦争に勝者はなく決して戦ってはならない」と確認する共同声明を発出しました。これは被爆者の主張と同じであり、核保有の5大国が核戦争のリスクを回避する上で初めての統一意思であり、本気であるなら歓迎します。
 我が東友会も例外なく感染蔓延の大きな影響をこうむりました。総会も2年続けて書面決議となり、長引く緊急事態宣言により、理事会なども間延びした間隔で開催されました。延期開催されたオリンピック・パラリンピックのため秋に延期された主要行事「原爆犠牲者追悼のつどい」は、人数制限して何とか開催に漕ぎつけました。
 昨2021年は「核兵器禁止条約」が、1月に発効するというめでたい年明けであったにも拘わらず、これを無視する日本政府とのたたかいを開始しなければならないという、実に情けない1年でした。日本政府に条約批准を求める総理大臣宛の署名活動も、年末に集約した約65万人分の署名を岸田総理に直接届けたいと政府に要請したにも拘わらず、外交を所管する外務省に振られてしまいました。国民の声を聞くという岸田総理の姿勢はどう実現されるのか。条約締約国会議へのオブザーバー出席を求める声も無視して、政府は早々と不参加を表明しました。NATOの主要構成国であるドイツやノルウェーはオブザーバー参加を表明しているのにです。日本政府は、同盟国アメリカの政策に追随するだけでなく、唯一の戦争被爆国として自主的な外交戦略を打ち出してほしいものです。
 東京に住む被爆者は、もう少しで4000人台を切るほどに減少し、高齢化しました。こうした被爆者の相談に応ずる体制をいかに維持していくかは引き続き最重要課題です。
 私たちが強く願ってきたのは、被爆者を救うとともに人類を救うことです。そのためにも、被爆者の証言活動は重要ですし、実体験した被爆者が老齢化していく後の証言継承対策も大きな課題です。
 遅々として進まない福島第一原発の廃炉処理や地球温暖化対策も、放置できない重要課題です。
 みなさん、本年も老体に鞭打ち、核廃絶と原爆被害への国家補償の目標を掲げて、ともに努力しましょう。