被爆者相談所および法人事務所
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コロナ禍に負けないでがんばる 2021年「地区の会」の活動から

 2019年末に発生し、2020年初頭からパンデミック(世界的流行)となり足掛け2年を経ても収まらない新型コロナウイルス。感染拡大防止のための規制や自粛で人びとの生活はあらゆる場面で大きな影響を受けています。2021年1月には核兵器禁止条約が発効しましたが、締約国会議も延期になり、世界的に沈滞ムードが広がっています。そんななかでも、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償を求める被爆者の運動は、様ざまな努力を重ねながら続いています。今号では2021年の地区の会の活動を紹介します。(順不同)

港・港友会

 2021年の年間行事としては当初平年並みのスケジュールでしたが、新型コロナ感染の拡大に合わせて制約が加わりました。
 5月の平和行進は、屋外での出発集会に参加。人が歩いての行進ではなく車3台のパレードの行動となり、それを見送りました。恒例の研修旅行はワクチン接種の時期と重なりましたが、少数で横浜・小田原・熱海に行きました。7、8月は、港区の平和展が5カ所で開催され、そのうちの3カ所に参加しました。 東京都主催の「原爆犠牲者追悼のつどい」、医療講演会など東友会関係の行事には、港友会として積極的に参加。年末見舞金を届ける活動も東京土建港支部の援助を受けながら対象者を訪問できました。(髙木恭之)

公園の広場のような場所で、マスクをし、間隔を開けて立つ数人の人たち。うち3名が、「核兵器禁止条約が発効しました 唯一の戦争被爆国の日本こそ参加を!」など書かれた横断幕を掲げている。「国民平和大行進」と書かれたのぼりも写っている。
平和行進出発式(港)

墨田折鶴会

 墨田折鶴会は、毎月最終日曜日に定例会を開き、議事録と「東友」を会員と支援者、区役所と区議32人に届けています。2021年の第38回定期総会は、コロナ禍のため書面決議となりました。
 5月には被爆二世制度の調査を実施し、15件の回収のうち2人が健康診断受診票を未取得とわかり、申請書類を発送しました。7月に、元会員の福地義直さん(故人)が制作した長崎型原爆「ファットマン」の原寸大模型を新潟まで運び、新潟原水協に引き継ぎました。毎年開いていた「すみだ平和・原爆写真展」は、会場の区役所がワクチン接種会場となったため中止となりました。11月に、都立両国高校付属中学校2年生に被爆証言。終了後、平和についてミーティングをおこないました。12月には、初めての研修会をすみだ生涯学習センターで開催。9人の会員と支援者が集まりました。(湊武)

公園の広場のような場所に、脚立などを台に利用して原爆模型が展示されている。模型は、実際の「ファットマン」の本体がほぼ長楕円形なのに対し、ナス型になってしまっている。また、国立アメリカ空軍博物館に展示されているレプリカを模した塗装がなされているが、ゆがんでしまっている。台の前には、模型について説明が書かれた横長のパネルが立てかけられている。模型の前で、二人の人が腕を伸ばして握手をしている。その足元には、原爆関連と思われるポスターのようなものがたくさん並べられている。
原爆模型の引き継ぎ(墨田)

杉並光友会

 杉並光友会は、2021年5月に総会を開き、17人が参加。出前授業(被爆証言)は、6月に高井戸小学校6年生、7月に阿佐ヶ谷中学校3年生、四宮小学校6年生におこないました。8月には区役所ロビーで恒例の原爆展を開催。11月にはピースフォーラム展で原爆のパネル展示、12月には障害者団体のふれあいフェスタに参加し、会員4人の作品が出展されました。バスハイクは11月に17人が参加して、埼玉県深谷市の渋沢栄一記念館に行きました。
 光友会ニュースは7月に209号、10月に210号を発行。毎月第3土曜日に役員会を開きましたが、9月だけ台風で中止しました。(久保田朋子)

台座の上に建てられた銅像(ロングコートを着ている。体に比して腕が細く、頭部が大きくアンバランス)の前に、撮影のためにマスクを外し、間隔を開けずに並ぶ笑顔の参加者たち。
渋沢栄一記念館で(杉並)

豊島・豊友会

 豊友会は、コロナ禍でなくても地区旅行や集団健診など集まれる人が限られるものは、もともと定期的には開催していません。
 実相普及としての原爆展などは、豊島区とさまざまな方法で相談していますが、コロナ禍の下、密を避けた適当な会場確保などで難しい面があります。豊友会としては、豊島区「非核都市宣言」40周年の22年に向けて、会長と副会長が区に原爆展の開催をお願いしましたが、今のところ返事はありません。
 豊友会のその他の活動としては、「豊友だより」の発行を1、3、5、7、11月におこなっており、会長や副会長が原稿づくりと印刷を担当して発送には2,3人の理事が参加しています。(柚木聚)

被爆者練馬の会

 2020年の初めは定例の役員会で平年のスケジュールと核兵器禁止条約の発効などに向けてがんばろうと話し合っていましたが、新型コロナの緊急事態宣言でテンヤワンヤに。2021年も同様で、毎年6月に開催している定期総会も開けず、議案を郵送し、はがきで意見や採否を回収するなど、手間が大変でした。
 練馬の会として初めて試みた5月の「ヒロシマ・ナガサキ原爆写真展」の開催も、直前で会場の施設が感染拡大予防のため閉鎖され、予定変更を余儀なくされ11月に開催。5日間で500人が見にきてくれました。
 コロナ禍で活動が委縮して会員のコミュニケーションが低下しないよう、10月には「地区なんでも相談会」を開催。少人数ながらも目的は果たせました。
 直接会う機会が大幅に制約されているため、少しでも会員間の交流の助けになるよう、「練馬の会広報」をがんばって発行しました。(綿平敬三)

会場前方のホワイトボードに、「東友会 地区何でも相談会 知っておきたい被爆者と二世の制度」と大きく印字された紙が貼られている。その手前の長机に講師が座り、マイクを使って話をしている。さらに手前に葉、長机に間隔を開けて着席し話を聞く参加者たちが写っている。
なんでも相談会(練馬)

葛飾・葛友会

 葛友会は、2021年の活動のうち、総会をはじめほとんどの屋内での集会・行動は、感染対策で中止しました。
 区も8月の広島、長崎の平和式典に区の代表や区議の派遣を中止しました。「葛飾区平和の集い」も屋内での式典は中止でしたが、屋外での献花・献水はおこなわれ、区長、議長、区議代表らとともに葛友会からも代表が参加しました。
 月1回の理事会はなんとか開き、「葛友会だより」の発行も継続しました。7月には青戸小学校で被爆証言をしました。原水協の平和行進にも参加しました。
 葛飾区の青戸平和公園には東友会の「原爆犠牲者慰霊碑」があるので、3月と10月に清掃を担当しました。(中西俊雄)

武蔵野けやき会

 私たち武蔵野けやき会の活動もこの2年余り、総会や食事会も開けない状況が続いています。とりわけ心配なのは、会員に直接会えないことで、「どのように過ごしておられるだろうか」と案じることが多くなりました。
 2021年最後の役員会で話し合い、手分けして電話で近況を聞くことにしました。加えて、寒い冬に向けフリースのジャンバーまたはチョッキを贈ることにしました。一部遠方の人は郵送しましたが、会員の様子を少しでも知るため、できるだけ家を訪ねて手渡し、お話もしました。とても喜ばれてよかったです。
 年明けの課題は、軽度の認知症とその予備軍、強度の物忘れなどをテーマに、少人数で話し合う機会を設け、認知症介助士でもある木岡が担当したいと思っています。(木岡紀久代・大槻玉恵)

左右2枚の写真が一つになっている。左側は、いくつもの上着とそれを持つ二人の人が写っている(届けるための準備中かもしれない)。右側は、ハンガーに架けられた上着が1枚写っている。
フリースの上着を贈る(武蔵野)

三鷹・三友会

 2021年は、予定していたほとんどの会議・行事を中止せざるをえませんでした。その上、長年役員として活躍された山本英典顧問、郷田正巳理事が亡くなり、他の男性役員2人が歩行困難となり、女性役員1人が施設に入所されるなど、役員会も十分に開けず悪戦苦闘の1年でした。
 それでも、機会を得て被爆証言活動の取り組みは続いています。3月には西東京の中学校で、8月には三鷹市主催の原爆展で、12月には武蔵野市の小学校で、被爆証言をする機会がありました。子どもたちが書いた感想には、「なぜ人間同士で殺し合うのか」「なぜこんなもの(原爆)を作ったのか」理解できない、という内容のものが多く見受けられました。
 11月には、三鷹市市制施行70周年にあたり、三鷹・三友会が表彰を受けました。(大岩孝平)

体育館のような板張りだがそれよりはずっと狭い部屋。小さい舞台があり、その上にスクリーンが置かれ、何か映像が投影されている。舞台の前で、椅子に座った被爆者が話をしている。その手前で、子どもたちが床に座って話を聞いている。
映像を使って被爆証言(三鷹)

町田・町友会

 2021年もコロナ禍のため総会を開催できませんでした。会員237人に総会中止のお知らせをするとき、淋しい思いをしました。そのなかでも、年4回の会報を発行し、年末お見舞い訪問では18人の方にお会いできました。
 会の理事会は隔月で開いており、全員出席でがんばっています。いま町友会では創立40周年記念誌出版に向けて取り組んでいます。町田市からの助成を受けている関係で、被爆証言にも努力しています。地域の小中高校や大学が対象です。毎年8月には市主催の平和イベントが1週間開かれ、広島と長崎の被爆者が2人ずつ証言します。
 小学校の低学年を対象にした証言では、理解してもらうために苦労します。大学では、被爆体験とともに「日本政府に条約への署名・批准を求める署名」のことも話します。(神戸美和子)

体育館の舞台の上で、立って話をする被爆者と、床に座って話を聞く子どもたち。
小学校の講堂で被爆証言(町田)