都衛生局と東友会が懇談 心の傷など12項目を要望
東京都衛生局と東友会の懇談会が2002年1月15日に都庁内の会議室で開かれました。これは1994年度から毎年続いているもの。東京都側からは、金田麻里子医療福祉部長など7人、東友会からは田川時彦会長はじめ28地区62人が参加しました。
懇談会の最初は金田部長が「東友会との懇談は被爆者行政をすすめる上で重要です」とあいさつ。出席した中西好子特殊疾病対策課長、吉田文代被爆者援護係長などが紹介されました。つづいて田川会長が、東京の被爆者の被爆直後から現在までの証言を紹介しながらあいさつ。62人の参加者全員が紹介されました。
今回の基本問題は山本英典事務局長が要請。2001年の懇談会で要請した以下の三つの基本問題を、新しい情勢をふまえて再度要請しました。
- 原爆症認定問題ではDS86を審査の基準にしている冷酷な国に対して、東京でも集団訴訟をおこなうこと
- 長崎の被爆地拡大の調査で明らかにされた「心の傷」について、東京都も調査をしてほしいこと。
- 国立平和祈念館の遺影収集を、都が掌握しているすべての遺族によびかけてほしいこと
健康管理手当
健康管理手当の問題は、村田未知子相談員担当。
健康管理手当を却下された最近の相談事例をあげながら、手当が創設された昭和43年の厚生省事務次官通知を引用して、創設の趣旨が「被爆者の療養生活の安定」にあったことを指摘。この趣旨に添うよう、診断書を書く医師への啓蒙、都の説明書の充実、高齢被爆者に配慮した審査実務をすすめてほしいと訴えました。
介護保険と介護手当
介護保険と被爆者の介護手当については、清水眞吉相談員が要請しました。
介護保険のヘルパーと他人介護手当の介護費用の毎月の申請書類が非常に複雑で、被爆者が自力では作成できないことを指摘。申請書類の簡略化とともに、2002年度からはじまった援護法福祉事業の活用を広げるために、業者を啓蒙してほしいと要請しました。
都立病院の統廃合
都立病院の統廃合問題では、八王子・八六九会の中西靖之会長が、小学生の孫が40日間都立小児病院に入院し、命を取り留めたことを話しながら、都立小児病院の存続を市民全員が願っていると発言しました。
「ハンドブック」
東京都が一般疾病医療機関を紹介している「ハンドブック」の発行については田代啓子事務局次長が発言。
田代次長は、2002年中の発行と病院の紹介を50音順にしてほしいこと、指定医療機関を辞めたときは、すぐにわかるようにしてほしいと要請しました。
委託事業費
委託事業費については、飯田マリ子副会長が、「ぜひ実態に見合って支給してほしい」と要請しました。
とくに、削減によって刊行物が7割、医療講演会が4分の1に削減されていることを強調。相談事業についても、件数の増加にあわせて東友会が相談員を増員しているのに、委託費が据え置かれたままになっていると指摘しました。
介護、手帳、更新も
豊島・豊友会の山田玲子会長が、独り暮らしの被爆者の介護手当の審査については、日常生活の実態を知っている地区相談員の申述も参考にしてほしいと要請。
調布・調友会の丸本規雄さんが被爆者健康手帳の審査を、八王子・八六九会の石井淳介さんが健康管理手当更新の通知を、迅速にしてほしいと、要請しました。
都の回答 「心の傷」重く受けとめる 意思疎通はかる
これら東友会の要請に対して吉田係長が、「都財政の問題があり調査は無理だが、長崎の調査でわかった『心の傷』については都としても重く受け止めている」「『ハンドブック』は2002年発行して、全被爆者に送るが、医療機関の並べ方については、まかせてほしい」と回答。
中西課長は、「手帳交付や手当の審査については、内容、審査期間の問題など遠慮なく、被爆者援護係に聞いてほしい。被爆者のみなさんと、意思疎通を十分にとっていきたい」と話していました。