長崎・被爆地拡大で新制度 12キロ内全域で健診、医療は7市町
長崎の被爆地域拡大是正問題で厚生労働省は、2002年度から実施する健康診断特例区域の新制度を明らかにしました。内容は以下の通り。
- 爆心地から12キロ内で原爆を体験した人全員を対象に、年一回無料健康診断を実施する。
- 長崎市と周辺6町に現在居住している人で、被爆体験による精神的影響が認められれば、医療費の自己負担分を全額補助する。精神的な健康低下と合併する心身症や身体症状も補助する
(周辺6町:西彼杵郡香焼、伊王島、多良見、時津、琴海、北高来郡飯盛)
厚生労働省はこの措置について、「未指定地域には放射線の影響はないから援護法の対象外」、だから「被爆者」とは見ない、したがって健康管理手当などの給付はないとしています。しかし、被爆体験者に「心の傷」があることは、専門家の調査報告で明らかなため「健診は援護法で、医療給付は予算措置で」としたものです。
この新制度の発表をうけ、被爆地域の拡大是正を求めてきた実行委員会は解散が決まりました。しかし、12キロ以内全域に被爆者援護法の適用を求めてきた人たちは、「被害はどの町にも出ているのに、差別するのは納得できない」と、批判の声を挙げています。