おりづるの子(東京被爆二世の会) 二世の要望実現と被爆体験の継承を
結成10年目
おりづるの子(東京被爆二世の会)は2013年に結成。2023年に10年目を迎えます。この3年間、新型コロナ感染症が収まらないなかですが、2022年度は少しずつ対面での活動を再開しました。とはいうものの、予断を許さない感染状況です。引き続き会報やメールによる会員同士の交流と対面での集まりの両方を軸に活動しています。
東京都への要望活動
被爆二世(以下、二世)の思いは、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)「全国被爆二世実態調査」でも浮き彫りになっています。
2022年春、おりづるの子会員に対しておこなったアンケートでも、親の介護や医療、自身の健康に関する記述が多くありました。二世の不安であり大きな関心事です。
二世の健康については、東京都にはすでに健康診断と医療費助成の制度があり、少なくない会員が利用しています。おりづるの子会員アンケートでは、乳がんや子宮頸がんなど婦人科系の検診の方法や医療券の更新手続きの簡略化などの改善要望が聞かれました。
おりづるの子は毎年、東京都の予算編成時期に都議会各会派にたいして、「被爆者の子」健診の改善などの要望を提出し、東友会と東京都福祉保健局の懇談会にも参加し、二世としての意見を述べています。
2022年11月14日の福祉保健局との懇談会では、(1)胃がん検診を内視鏡(胃カメラ)でもできるようにすること、(2)健診実施期間を拡大すること、(3)東京都で実施している二世健診と医療費助成を国の事業として実施するよう国に要望すること、(4)健診結果を集計して報告すること、(5)医療費助成の障害(疾病)別・年代別の状況を公表することの5項目を要望しました。
その後、(1)の内視鏡での胃がん検診について、23年度予算要望に盛り込んだとの回答を得ました。(3)も国に要望しているとのことでした。懇談や要望活動を続けることによって、私たちの願いが実現していることをうれしく思います。なお(5)については公表されたことを、おりづるの子の会報に掲載する予定です。
東友会とともに
東友会との定期協議を4カ月に1回開催し、情報共有と共同した企画などを検討しています。
2022年7月24日に開催された「東京都原爆犠牲者追悼のつどい」、「慰霊碑への献花式」、そして「原爆死について学び語り合う交流会」には、企画・準備段階から東友会、東京都生協連、東京原水協とともにおりづるの子も実行委員として参加。当日は会員がスタッフとして設営、受付、司会など、要所要所の役目を果たしました。
交流会では、おりづるの子会員の澤原義明さんが証言。白血病とたたかい亡くなった母のことを語り、二世として継承していく思いを伝えました。澤原さんの体験と思いをさらに深く聞きたいという声が寄せられていますので、企画する予定です。
東友会主催の「地区出張相談会」や地区の会の行事に参加し、二世として活動することに努めています。
2022年10月15日、調布でおこなわれた相談会では、参加した二世が、新たに当会に入会されました。全国的な活動としては、日本被団協の二世委員会にも委員を出して、今後の二世の役割や活動についての話し合いに参加しています。
学習と継承
年4回ほど発行している会報では、随時、二世としての思いを掲載し、会員相互が理解を深め合えるようにしています。
第36号(2022年10月発行)では、山田猛さんが美術を通して核兵器による人類の危機と平和を世界に伝えていく展覧会を実現したいとの思いを執筆。中村雅子さんは、この手に直接祈りを託された者として、人類の犯した大きな過ちを、単なる情報として風化させないための手助けができないか、と述べています。
2022年12月10日には、2003年の長崎の平和祈念式典で「平和への誓い」を手話で述べた山﨑榮子さんの映像を視聴し、原爆の情報を得ることができなかった方のことを考え、親の被爆体験などを語り合いました。
これからも、紙上や学習会でこうした交流を続けていく計画です。