厚労省の2021年度概算要求 介護保険の助成対象を追加
厚生労働省は2021年度の被爆者援護対策費の概算要求を発表しました。総額は1222億円で、目玉は保健福祉事業に、認知症グループホーム入所者の介護保険の自己負担分(1割~3割)を新しい助成対象にする内容で、被爆者と家族から期待されています。
諸手当は、2020年度と同額です。医療特別手当の256億円(1万5000人分)は、2019年度末の受給者7000人の2倍以上になります。厚労省が原爆症認定の審査方針を出してから7年が過ぎました。この方針で却下された被爆者がノーモア・ヒバクシャ訴訟に参加し、勝訴した事例が相次いでいます。医療特別手当受給者を2倍にするという予算案は、審査方針を大幅に見直しできることを示しています。
予算案の健康管理手当(11万1000人分)は2019年度の11万4000人の97%となり、医療特別手当との合計は12万6000人になります。2019年度末の被爆者数は13万6000人でした。被爆者が毎年9000人減少していることから考えると、被爆者全員に健康管理手当以上の手当を支給できる予算になります。
これは、2018年12月から日本被団協、全国原告団・弁護団が「被爆者全員に健康管理手当を。障害のあるものに加算する」ことを厚労大臣に要求してきた『被爆者問題に関する統一要求書』の内容を実現する道を開いているとも考えられます。