2021年を迎えて 一般社団法人東友会代表理事 家島昌志
未だ経験したことのない新型コロナ感染第3波の拡大による緊急事態宣言の再発令という中で新年の幕が明けました。
2020年は被爆75年という期を画すべき年であり、多くの記念すべき行事が企画されておりました。しかし、冒頭に述べた理由により、多くの行事が中止に追い込まれ、東友会の年度総会すら開催できないという異常事態となりました。
オリンピック・パラリンピックも過去に例のない延期の運びとなり、その開催すら先が見通せません。
しかしながら、2017年に122カ国の賛成により国連で採択された「核兵器禁止条約」が、2020年秋50カ国の批准を達成し、今月22日に発効するというめでたい年明けでもあります。
被爆者の証言活動とそれを受け入れ支援してくれた世界の人びとの支えも大きな力となりました。核兵器廃絶のためには、今後まだ多大な努力を要することでしょうが、核廃絶に向けた大きな一歩を踏み出したといえます。
唯一の戦争被爆国でありながらこの条約に背を向ける日本政府に対し、私たちは新たな署名活動に取り組み、外交政策の転換を求めていかねばなりません。
過去1万人を超えていた東京の被爆者は4000人台まで減少しました。被爆者の高齢化はやむを得ない現実ですが、そうした被爆者の相談にこたえ、援助していく体制をいかに維持していくかは今後の最重要課題です。
私たちが強く願ってきたのは、人類が二度とこんな悲劇を体験することがない世界の実現です。
そのために被爆者の証言活動は引き続き重要課題であると同時に、実体験した被爆者が老齢化していく後の証言継承対策も重要です。
さらに、地球温暖化対策も、人類存続のためには喫緊の重要課題です。
米国の大統領交代が世界の政治の流れをより良い方向へ変えることを切に望みます。
皆さん、本年も核廃絶と原爆被害への国家補償という目標に向かって邁進しましょう。