核兵器禁止条約の発効にあたって「わたしのメッセージ」
日本政府に条約参加迫る多くの声が
80歳、90歳の被爆者も「生き続けて頑張る」の気概
「東友」2020年11月号で、核兵器禁止条約のあたっての「わたしのメッセージ」を12月末の締め切りで呼びかけました。これに応えて、220件を超えるメッセージが寄せられました。その中からいくつかを紹介します。紙幅の制約上、長いメッセージは全体の一部を抜粋した紹介になっているものがあります。ご容赦ください。(順不同)
- 今だに地球上にある何万発の核兵器が三度使用されることのないように、体験した私たちが一生懸命伝えてきました。私ども被爆者は残された時間が少なくなってきました。 あの日死んでいった多くの人たち、その後その影響で死んだ人たちに代って今、生かされている私どもが最後のお願いをします。どうか核兵器禁止条約に署名し、批准してくださることをお願い致します。たとえ発効されても日本国が参加していないのは、世界の国にどんな顔していればいいのでしょうか。
(被爆者・広島被爆・90歳) - 日本国総理大臣様、閣僚の皆様
核兵器禁止条約に加わらないことを私たち被爆者は世界中の人びとに対して恥じています。米国の核兵器を認めているのですね。地球上の核兵器を有用とする立場は大きな誤りです。人類が核と共存できないことが証明された75年でした。
被爆者にとっては生き延びることがたたかいでした。そのたたかいがようやく実を結び核兵器を禁止するべく世界が結束しました。核兵器が、米国の核兵器が私たちを生んだのです。忘れるな! この条約に加盟してください。
(被爆者・広島被爆・81歳) - 核兵器禁止条約の発効が決まった直後、11月14日にマレーシアのマラヤ大学の学生、先生たちにオンラインで被爆証言をした時も、「日本はなぜ加盟しないのですか?」という質問を受け、恥ずかしい思いをしながら現状を説明し、「きっと将来加盟するようになる」と回答しました。
(被爆者・広島被爆・91歳) - 核兵器禁止条約の前文に「ヒバクシャ」が2カ所に刻まれているように、被爆者の願いと運動が実を結んだ条約です。世界地図では点のような小国たちがこの条約を批准して、歴史の機動力になっていることも画期的です。 残念なことは、被爆者のいる日本の名が批准国にないこと。被爆者はまだ生き続けて頑張れと、歴史から要請されているのだと思います。
(被爆者・長崎被爆・89歳) - 50カ国の人たちが批准してくださったのに、日本国政府は参加すらしないことにいきどおりを感じます。
「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」運動に協力して政府にゆさぶりをかけたいと思います。
(被爆者・広島被爆・88歳) - 少し灯が見えてきました。
父の最後の言葉は「俺は沢山の人に水を飲ませて殺してしまった。いいところへはいけないね」。涙が私の手に。戦争は助かった人びとも一生苦しめました。核兵器廃絶。平和な世界を祈ります。
(被爆者・長崎被爆・77歳) - この年になっても恥ずかしながら原爆で亡くなった両親のことが忘れられません。父や母のことを思い出すと自然に涙がこぼれてきます。
肉体だけでなく、心をめちゃめちゃにされた被爆者は多いと思います。日本政府が署名・批准しないのは、どうにも理解できません。
(被爆者・広島被爆・94歳)
- 私は小学生のとき、親と兄、弟を原爆で亡くしました。充分な親の愛も知らず、親への孝養も果たせませんでした。
日本国政府に、核兵器禁止条約の批准と参加を切に求めます。
(被爆者・長崎被爆・86歳) - 夫は、7歳のとき広島で被爆し、逃げ惑い、現在は認知症で闘病中です。そんな夫に代り書きます。
核兵器は人びとに幸をもたらすことはありません。次代をになう子どもたちのためにも、一日も早い、禁止条約の批准と平和な世界の実現を、心より願います。
(被爆者の家族・78歳) - 「核兵器禁止条約」が発効されることは確かな一歩前進です。しかし唯一の被爆国である日本が署名・批准しないことは、いくら首相が核廃絶を唱えたとしても矛盾であり、誰も納得できません。
(被爆二世・61歳) - 唯一の被爆国である日本は本来ならばまっ先に批准するべきと思ってきました。アメリカの核の傘に守られているからなのでしょうか。政府から何のメッセージもありません。私の妹はがんで18歳で亡くなっています。核は他の兵器とは違います。おそろしいです。一刻もはやく批准していただきたい!
(被爆二世・71歳) - 歴史上初めて、核兵器は人類を破滅に導く非人道的兵器であり完全に廃絶することを求める国際的規範ができました。政府は被爆者の願いを一番よく知っているはずなのに禁止条約を無視して「核兵器保有国と非保有国との橋わたし」をするといっています。ならば、まずは発効後に始まる批准国会議にオブザーバー参加して非保有国の立場を理解すべきです。
(被爆二世・72歳) - 何故、日本は署名・批准をしないのですか。核保有国と非保有国の橋渡しをすると言っていますが、何をしましたか。何にも動いてないではないですか? 交渉会議にも欠席し、せめてオブザーバーとして参加し、核保有国に対し核の怖さを伝える行動をしてください。 我われ被爆者も75年前の悲惨な状況を「証言」として伝えていきます。
(被爆者・広島被爆・78歳) - 人類の生命尊厳をおびやかす核兵器や戦争は絶対悪です。条約が発効するまで長い年月がかかりました。被爆国の日本が参加していないことには強い怒りをおぼえます。
被爆者の一人として、生命尊厳が平和構築の根幹と思います。「原爆許すまじ」です。
(被爆者・長崎被爆・81歳)