被爆者相談所および法人事務所
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夏 各地のとりくみから 原爆被害の真実を伝えずにはいられない

 被爆74年目の夏も、都内各地で慰霊や平和の行事が催されました。各地区の被爆者の会も、高齢化して昔ほどの活動力がないといいながら、被爆の実相、原爆の非人間性、原爆被害の真実を後世に引き継ぐためにと、それぞれに原爆展の開催などに取り組みました。被爆者の活動をいくつか紹介します。

区内巡回の原爆展 江東・江友会

 江友会が毎年区内の文化センターを回って開催している「原爆と人間」展を、2019年は東大島文化センターで7月22日から24日まで開きました。
 「原爆と人間展」パネルと、従来から展示している「被爆者からの伝言」の紙芝居を展示。今回は、長崎の被爆瓦も展示しました。これは、長崎の人が大切に保管していたものです。立派な瓦で目立ちました。
 会場の立地条件があまりよくなかったので見学者は少なかったですが、2日目に別の催しに参加した人たちが多く立ち寄りました。話をしてみると、東京大空襲に遭われた人などがおられ、しばしの交流のひと時になりました。
 寄せられたアンケートには、「原爆の悲惨を再確認した」「一日も早い核廃絶を望む」「被爆者の皆さんのこうした粘り強い運動が、世界を動かし核兵器禁止条約の採択に至ったと思います」などの声がありました。(森貞士)

ついたてに展示されたパネルを見る人たち。ガラスケースに収められた瓦も写っている。
区内をきめ細かに巡回して開催している原爆展(江東)

「原爆の図」を展示 文京・文友会

 2019年7月29日から8月1日まで、文京シビックセンター1階展示室で「原爆の図」第2部「火」と第4部「虹」が展示され、約690人が参観しました。これは“「原爆の図」を見る会・文京”が主催したもので、文友会は後援団体として参加しました。
 特別企画として、核兵器禁止条約の現状、文京区平和宣言40周年記念行事に関する展示もおこなわれ、会場では、ビデオによる被爆証言が16回上映されました。
 カナダ在住の被爆者・サーロー節子さんが、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のノーベル平和賞受賞式で講演した内容全文を展示したところ、これが大反響。老若男女を問わずたくさんの人たちが読み入っていました。
 若い学生は「ぼくも何か人類の役に立つことをしたい」と感想を述べ、身重のお母さんは「核兵器は絶対なくしてほしい」と真剣に語っていました。
 会場に置いたヒバクシャ国際署名には、75人がサインしてくれました。(吉重信)

高さが人の身長ほど、幅も何メートルもある絵画が展示された会場で、展示物を見る人たち。
圧巻の「原爆の図」(文京)

区役所で原爆展 杉並光友会

 杉並光友会は、2019年8月6日から9日まで、杉並区役所1階ロビーで「原爆と人間展」を開きました。
 「原爆人間展」パネルをメインに、広島に投下された原爆・リトルボーイの原寸大模型などを展示。世界に原爆の非人道性を訴え核兵器禁止条約の実現にも尽力した被爆者・谷口稜曄さんの生き様を人間シリーズとして大型パネルに展示し、多くの参加者から反響がありました。
 会期中、区役所を訪れた人たち615人が立ち寄り、ヒバクシャ国際署名には450人のサインが寄せられました。
 展示を見た人が、6日の平和祈念式で安倍晋三首相が述べた「核兵器のない世界の実現を求めて努力してまいります」の言葉は、実際の行動とかけ離れていて空虚感を覚える、と語っていたのが印象に残っています。(籾倉積)