被爆者年末お見舞い訪問の報告から
心がこもったお見舞金と編み物 訪問は気持ちを通わすひととき
2018年12月に「被爆者に年末見舞金を贈るつどい」が開かれ、そこで贈呈されたお見舞金と、東都生協組合員から届けられた手作りの膝掛けや帽子などの編み物を持って、各地区ごとにお見舞い訪問がおこなわれました。「つどい」の模様は「東友」12月号に既報ですが、要約を再掲するとともに、現在寄せられている地区からの報告を紹介します。
54回目の「被爆者に年末見舞金を贈るつどい」は2018年12月9日、東友会事務所のある平和と労働センターで開かれ、東京原水協から26人、東友会から35人が参加しました。参加者全員で原爆死没者への黙祷を捧げた後、東友会の家島昌志執行理事が原水協の厚意に感謝しながら開会の挨拶。東京原水協の柴田桂馬代表理事は、1960年の原水禁世界大会で原爆が投下された6日と9日を毎月被爆者救援と原水爆禁止をめざす行動日とすることが提唱され、4年後から被爆者への年末見舞が始まったことなどを詳しく紹介しました。
東友会からは、豊島区で40年近く年末見舞いを届けている東友会執行理事の山田玲子さんが、見舞金を受ける被爆者への対応や苦労話などを姿が見えるように紹介し、参加者の感動を呼びました。
その後、東京原水協の橋本博代表理事から東友会の山田執行理事に見舞金の目録が手渡されました。2019年の年末見舞金は30区市の被爆者166人に一人3000円ずつ届けられます。これまで見舞金を受けた被爆者は1万1116人、総額は3368万2000円にのぼります。
地区からの訪問報告(訪問日付順)
中野
東京原水協の皆さんから被爆者への貴重な浄財である年末お見舞金。今回は12月13日、中野長広会の役員3人と中野原水協の事務局長で、8人の高齢会員や要介護の会員を訪ねてお渡ししました。
人数は限られますが、年末のお見舞訪問は数少ない貴重な交流の機会でもあり、無事な姿を確認し合い、良き新年を迎えられるように励まし合うひと時を過ごしました。(家島昌志)
武蔵野
12月17日、武蔵野けやき会から2人、武蔵野原水協から2人の計4人が参加し、年末見舞金を届けました。
介護施設に入所している一人の女性は、言葉は少々不自由ながらおだやかなお顔で、送ってこられた人生の様子がうかがわれました。90歳の男性は、これから麻雀をしにいくところだと元気に出迎えてくれ、83歳のこちらがたじろぐほどでした。もう一人の女性は、被爆の体験談を玄関口で長々と話されました。
今回訪問した4人の方がたは、人生の途中で被爆というとんでもない災難に遭ったとはいえ、現在は前向きに過ごしておられ、その姿に訪問した側が勇気づけられた思いでした。(梅岡功)
練馬
12月21日から23日にかけて、被爆者練馬の会から5人が参加し、82歳から91歳までの5人を訪問しました。
一人はがんで入院中でしたが一時退院しておられたところを訪問し、お見舞いすることができました。練馬の会の役員を長くつとめられた91歳の女性は、お元気そうに見え安心。ご本人は自分のことより被爆二世のこれからを心配なさっていました。一人暮らしの男性は、がんの治療中とのことでしたが、明るく歓談のひと時を持つことができました。(綿平敬三)
江戸川
12月22日、江戸川親江会から7人、江戸川原水協から7人が参加し、班に分かれて年末見舞金を届けました。
訪問先の被爆者は79歳から101歳までの15人。以前、親江会の役員をしていた女性は、心臓が悪く精神的にも弱っておられましたが、お見舞い訪問と「膝掛け」の贈り物をとても喜んでくださいました。ホームに入っている要介護度5の男性は、8月の式典に参加した原水協の人が「広島は暑かった」と話すと泣き出されました。姉を原爆で亡くすなど深い悲しみを抱えてこられたそうです。
訪問してご家族からもお話を聞くことができました。やはり介護に関する苦労が多いようでした。(奥田豊治)