厚労大臣と被爆者の定期協議 従来の姿勢から進展なし
「被爆者が死ぬまでの時間稼ぎか」の声も
2018(平成30)年度の日本被団協、原爆症認定集団訴訟全国原告団、同全国弁護団連絡会と厚生労働大臣との定期協議が12月20日、厚労省省議室で開かれ、全国から被爆者や支援者105人が傍聴に駆けつけました。
冒頭、根本匠厚労大臣と日本被団協の田中煕巳代表委員が挨拶。続いて、11歳のとき広島で被爆した山田玲子さんと5歳のとき長崎で被爆した横山照子さんが、被爆当時の模様と被爆で苦しんだ家族の話などを証言しました。根本大臣は、「被爆者の苦しみを救うため、この事実を真摯に受け止め、行政上の対処をしたい」と述べました。
被爆者側からは、時の総理大臣と交わした「確認書」に基づく解決、被爆の実態に即した認定判断を強く要請しました。しかし大臣は、「新しい審査の方針」に則って対処しており、裁判は個別事情に基づく判断であり、認定行政は統一的で公平な基準でおこなっている、との答えをくり返すばかりでした。
全国弁護団連絡会事務局長の宮原哲朗弁護士が、裁判所が認めた範囲の認定を求めている「当面の要求」だけでも大臣の決断で実現するよう強く迫りましたが、大臣は同じ答えをくり返すのみでした。事前に提出してあった被爆二世問題を含む「要求書」の内容についても、厚労大臣の答弁は従来の域を一歩も出ませんでした。日本被団協の大岩孝平代表理事(政府・国会対策委員長)がノーモア・ヒバクシャ東京第2次訴訟控訴審の判決に対し上告しない決断を求めたことにも、大臣は回答を避けました。
今後も協議を継続していくことは約束したものの、傍聴した人たちの中からは「被爆者が死に絶えるのを待っているのか」といった失望と怒りの声があちこちであがっていました。