【連載】被爆者医療ドクター訪問
土谷良樹医師
原爆症認定訴訟の弁護団会議が開かれていた2012年のある日、「私、医師です。お役に立つことがあればと思って来ました」と挨拶した人がいました。
原爆症認定の裁判で、医師の専門的な助言は欠かせないこと。弁護団は「ぜひお願いします」と大歓迎。この医師こそ、土谷良樹先生でした。
土谷先生は2014年40歳。広島市牛田新田の実家の近所には被爆者が多く、子どものころから原爆に関心があったといいます。
東京大学医学部卒業後、千葉県流山市にある東葛病院(全日本民医連加盟)で総合内科と腎・透析科を担当しています。
病院のある東葛地区は、福島原発事故の放射線対策地域で、近くの公園には放射線量測定機器が置かれています。
先生は、チェルノブイリ原発事故の被害者調査をした経験から、20年、30年のスケールで健康記録をつけることを勧めています。「今は大丈夫でも、将来変化があるかもしれないから」。
「放射線と生涯かかわらなければならない被爆者の役に立ちたい」と語る、頼もしいドクターです。(山本英典)