【連載】被爆者医療ドクター訪問
児嶋徹医師
児嶋先生のご専門は外科です。府中診療所の所長として、被爆者から深い信頼が寄せられています。外来を担当されている谷保駅前相互診療所、立川相互ふれあいクリニック、昭島相互診療所でも先生のファンは多く、遠方から先生の外来に通う「追っかけ」被爆者もいます。
児嶋先生と被爆者の関わりは少年時代に遡ります。小学生のころ、お父様は自宅を開放して診療所を開所され、そこへ所長として赴任されたのは肥田舜太郎先生でした。お母様は、第五福竜丸被災後、全国に先駆けて原水爆禁止署名を開始した杉並で活動しておられました。
先生はモスクワへも留学。帰国後、立川相互病院で被爆者と出会い、厳しい実態を知ることになりました。
被爆者の日々の健康不安、恐怖、差別、国の隠ぺい政策、被害の過小評価など、関わるほどに憤りが深まり、それが「反核医師の会」での活動へとつながりました。
「多くの被爆者が苦悩の中で実相を語ってきたことが、私たちを目覚めさせました。核兵器廃絶を願い、運動を続ける人たちは日本の良心です」と結ばれました。(今井和子)