2025年・被爆80年を迎えて 一般社団法人東友会代表理事 家島昌志
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被爆80年という節目の年の幕が明けました。
2024年は新年早々能登半島地震に見舞われ、さらに水害の追い打ちをかけられ、関連する飛行機事故をはじめとする事故や闇バイトなど事件の多い多難な年でありました。
世界でも、ウクライナ戦争やガザ紛争が終わりも見通せずに継続しました。ハリケーン被害、洪水、干ばつ、森林火災などなど地球温暖化に起因する災害も多発しました。
もちろんパリオリンピックでの日本選手の活躍や大リーグにおける大谷選手の活躍などうれしいニュースもありました。
しかし、何と言っても私たちにとっては、日本被団協の「ノーベル平和賞受賞」が最大のニュースでした。
2017年、国連で核兵器禁止条約が採択された年に核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がこの賞を受賞して以降は、核兵器廃絶運動関係者の受賞はないものと世の中に理解され、今回の受賞は誰もが予想しなかった青天の霹靂のようなニュースでした。ノーベル委員会の授賞理由に述べられているように、先人たちが身をさらして世界に広げた被爆の実相証言により、核兵器の非人道性の理解が浸透し、ヒロシマ・ナガサキ後の80年間は核兵器が使われることのない「核のタブー」の確立に貢献してきたことが高く評価されたのです。この「核のタブー」が侵されようとしている現在の世界情勢に警告を発する意味合いからこの度の受賞が決まったという話もあったと聞きます。
ノルウェーのオスロで授賞式典に参列できた代表団を含め、現在の役員の多くは、先人の功績の蓄積を今にしてわが身で受けるという幸運に恵まれたのです。真に受賞に値する多くの人たちが、すでに身まかってしまったことは残念です。あと10年もすれば被爆者はほとんどいなくなってしまうでしょう。ノーベル委員会は核兵器廃絶運動の継承者育成についての功績も称えていますが、これから先、核兵器廃絶に向けた運動がどれだけ高揚し、継続・強化できるのか私たちは重い責任を感じざるを得ません。
本年は、被爆80年事業として、東京都生協連と連携しての広島・長崎訪問の旅や原爆展などを計画しております。
老化・病弱化していくが故に、次々と活動を閉じざるを得ない地区が増えているなかで、この重責をどのように果たしていくのか悩みは深まっています。しかし、悲観ばかりしてはおれません。本年もみなさんとともに、老骨に鞭打ち、国家補償要求と核廃絶をめざすというふたつの目標に向かって手を取り合って邁進しましょう。