被爆者相談所および法人事務所
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東友会・原爆被爆者相談所 その活動と相談件数の推移

 「東友会・原爆被爆者相談所」は、東京都の被爆者団体である一般社団法人東友会が運営する被爆者の相談窓口で、東京都から正式に業務委託を受けた相談所です。
 東友会は結成当時から、被爆者からの相談に対応してきましたが、相談内容や傾向は被爆者や被爆二世の年齢につれて特徴がありました。

東京都在住の被爆者数は2019年3月末現在で4921人。最高時(1988年3月末・1万365人)の47.5%となり、平均年齢は82歳に。一方、東京都在住の被爆二世(「健康診断受診票」の登録者)数は8000人超に。
相談の総件数は2018年度も1万5000件超。件数は2011年度の2万件をピークに減少していますが、相談内容はより複雑になっています。

以下は、スクリーンリーダー用にグラフを表になおしたものです。
東友会原爆被爆者相談所相談件数と、東京都に登録されている被爆者・被爆二世の人数の10年間の推移
年度 被爆者数 被爆二世数 相談件数 相談件数のうち二世に関する相談の件数
2009年度 7257 5955 18064 2469
2010年度 7003 6082 18730 2939
2011年度 6758 6495 20061 2591
2012年度 6476 6674 17699 3149
2013年度 6261 6883 17004 2753
2014年度 6010 7217 17574 2664
2015年度 5758 7458 16774 2912
2016年度 5487 7673 15070 2870
2017年度 5203 7936 15820 3278
2018年度 4921 8130 15344 3472

近年の特徴

 近年は、被爆者本人だけではなく、家族やケアマネージャーなどの介護支援者から寄せられる相談が大きく増えています。
 この場合の「家族」には、被爆者の実子である被爆二世も含まれますが、相談内容としては親の介護や手当の更新手続きに関することが中心です。
 被爆者本人が高齢化し、自分自身で直接相談することもままならなくなり、今まで被爆者の制度をまったく知らなかった家族や、福祉・介護の仕事で被爆者本人と接している職員が相談してくるケースが増えています。このため、被爆者の制度の基本的な説明が必要な事例が増えています。そのため、1件あたりの相談電話の時間が長くなる傾向もみられます。
 被爆者本人からの相談では、一度電話で説明しても、しばらくすると「聞いたことを忘れた」などと、何度も電話をしてくるケースが増えています。説明する際には、こうした実情をふまえて根気よく援助していくことが大切になっています。
 とりわけ、単身者や高齢夫婦のみの世帯の場合、電話での話だけでは状況が把握できないため、相談員が自宅を訪ねたり、地区の会の相談員(被爆者の会の役員)に訪問してもらうようなケースも増加しています。
 介護支援事業所のケアマネージャーや医療機関のソーシャルワーカーをはじめ、被爆者が支援を受けている他の介護・福祉施設と連絡を取り合うことも増えています。

被爆二世についての相談

 被爆二世とその家族から寄せられる、被爆二世の制度に関する相談が増えています。
 相談内容では、とくに東京都独自の「被爆二世の医療費助成制度」の利用に関する相談が大幅に増えています。二世の平均年齢が56歳を超え、最高齢は今年(2019年)73歳になるという状況のなかで、病気治療への問題が深刻になってきているためです。
 同時に、東京都以外の他府県から、東友会に被爆二世の問題で相談電話が入るケースも多くなっています。「東友会のウェブサイトを見て」という事例が多いのですが、二世の制度・施策は、国の定めた健康診断以外は都道府県ごとにかなり異なるので、相談者が住んでいる県の窓口を紹介しています。

今後の課題

 医療や介護の制度が年々複雑になってくるなか、それぞれの現場の専門家との連携・協力の強化が必要になっています。
 相談内容の複雑化、それへの対応方法の多様化も、避けては通れません。
 最近、被爆時の惨状を克明に覚えていて、戦後長く苦しみながら生きてきた被爆者から「白血病が発見され、あと1カ月以内の命といわれましたが、自分の死に方がわかって安心しました」との声が寄せられました。「いままで被爆の事実を隠してきたが、やはり被爆者手帳を取っておきたい」という相談もまだあります。

 一人ひとりの被爆者の実情に、親身に対応できる相談所でありつづけたいと相談員一同は願っています。なかなか電話が通じないなど、ご不便をおかけすることもあるとは思いますが、どうぞご理解とご支援をお願いいたします。

6台の事務机が、3台ずつ2列に向かい合わせで並べられており、相談員らがパソコンや電話に向かい仕事をしている。部屋の長辺を埋めるほどに連なり天井近くまでの高さのある棚に、カルテが収められたケースがいっぱいに並べられている。
東友会・原爆被爆者相談所の日常風景。