被爆者相談所および法人事務所
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NPT再検討会議 結果は残念だが、草の根の運動がますます重要に

日本被団協事務局次長 小西悟

 2005年NPT(核不拡散条約)再検討会議は、被爆者をはじめ世界のNGO(非政府組織)の期待と願望をうらぎり、何らの合意文書もつくれないまま終わりました。被爆60周年という大きな節目の年だけに、残念でなりません。「NPT体制の危機」という声さえ聞こえてきます。
 5月2日の開会当初から委員会の実質討議が始まるまで10日間も空転。2000年の「合意」の土台の上に2004年まで3回重ねられた準備委員会での討議は実りませんでした。
 自国の核開発は棚上げに、北朝鮮などの核開発「疑惑」を最優先するアメリカ・ブッシュ政権と、核保有国の「明確な約束」の実施を求める非核国の正面衝突で、出口は容易に見つかりません。第2委員会(核軍縮関係)で議論が行き詰まったのを皮切りに、各委員会が次々に中断されました。委員会が休会のまま総会が開かれましたが、各国代表が意見を述べるにとどまりました。
 日本政府(町村外相)の発言は、例によって核実験停止や核分裂物質の生産禁止などを重視して核兵器廃絶そのものを目標にはせず、迫力のないものに終わりました。
 2005年NPT再検討会議はたしかに無残な結果に終わりましたが、貴重な副産物を残しました。
 新アジェンダ諸国、非核地帯会議参加国、非同盟諸国やNGOが連日、NPT会議と並行して活発な討論会を開き、多くの建設的な意見を出し合い、『声明』あるいは『提言』としてNPT代表に手渡されました。
 5月11日のNGOセッションでは、日本被団協を代表して私・小西悟が各国代表を前に「被爆者からの訴え」をおこない、大きな拍手を受けました。会期を通じて国連本部で原爆展を開いたこと、そして36人の被爆者代表団による証言行動を幅広く展開したことの意義は計り知れません。
 NPT会議後、いくつかの政府代表が「NGOの参加を拡大すべき」などの発言をしました。
 核兵器廃絶をめぐる今後の運動において、草の根の市民の運動がますます重要になっています。