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被爆60年に「あの日」を思い 被爆者大運動の成功へ 横川新会長に聞く

 2005年7月は、「被爆者援護法」の施行から10年。当時、東友会事務局長だった横川嘉範さんが5月の総会で会長に選出されました。いま東友会がすすめている「被爆60年・核兵器も戦争もない世界をめざす被爆者大運動」について新会長に聞きました。(聞き手・事務局)

――援護法で諸手当の所得制限がなくなってから10年になるんですね。

横川 援護法の施行直後、もう制度の充実は無理だという声がありました。しかし、東友会はみなさんに調査をお願いして、ホームヘルプなど介護保険の福祉系サービスの費用に助成をさせることができました。
 この10年間は、裁判をつうじて制度を変えてきたのも特徴です。健康管理手当の更新手続きの変更は、在外被爆者が始めた裁判がきっかけでした。
 4月に高裁判決が確定したあずま裁判では、ウイルスが原因の肝炎でも、原爆放射線の影響を無視できない場合は原爆症と認定させるという裁判所の判断を国に認めさせました。いよいよ集団訴訟を勝利させなければと思います。
 しかし「原爆被害への国家補償」が残っています。このための国会請願署名を大運動ですすめています。

横川新会長

――先日、60年前に米国の記者が書いて占領軍に握りつぶされた長崎原爆の記事が発見されたというニュースがありましたね。

横川 当時からアメリカは原爆被害の実相が広がることを極端に恐れたんです。被爆の実相普及は大運動の大きな柱です。そのために7月29日から31日に日本青年館で「ノーモア ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議」を開きます。私はこの企画に最初からかかわってきました。被爆者にぜひ参加してほしいですね。

――大運動の柱には「東京行脚」もありますね。

横川 「行脚」はこれまでも節目にとりくんできた運動です。自治体の役場を訪ねて、被爆者の願いに賛同する署名への協力を首長に働きかけるものです。
 政府は「国民保護法」の具体化を自治体に求めています。この点でも「行脚」は大切な運動になります。

――「国民保護法」とは、核戦争になったらカッパをかぶって風上に逃げろという、あれですか。

横川 「風上」というのは「爆心地」。そこへ逃げろとは…。被爆者は原爆被害をきちんと伝え、核兵器を使うな、なくせと訴えなければ。

――その「行脚」が全国から集中するのが10月18日の集会ですね。

横川 九段会館に1000人を超える被爆者に集まってもらいたいと日本被団協がよびかけている「全国被爆者大集会」です。
 5月の国連NPT再検討会議で核兵器廃絶への道は、またも足踏み状態になりました。でもここであきらめたら「あの日」亡くなった人びとに顔向けできませんよ。年を取れば取るほど「生きているうちに核兵器廃絶を」という願いは強く深くなっています。そのために、手をつないでいきたいと思います。みなさんのご参加を期待します。

長円形に並べられた机に着席し、被爆者の証言を聞き熱心にメモをとる「VOICE」の青年たち。10人ほどの青年が参加。
被爆者の話に熱心に耳を傾ける北区・「VOICE」の青年たち(次の写真も)
長円形に並べられた机に着席し、被爆者の証言を聞き熱心にメモをとる「VOICE」の青年たち。1枚目とは別の場所、別の日。20人ほどの青年が参加。
都内でも若い世代への被爆体験継承が広がっています。