2020年(被爆75年)を迎えるにあたって
一般社団法人東友会代表理事 家島昌志
いよいよ令和時代の本格的幕開けとなりました。
2019年は新天皇即位式やラグビーワールドカップの開催、そして相次ぐ台風襲来による水害など、日本列島が激変に見舞われた年でした。2020年はオリンピック・パラリンピック開催年でもありますが、私たちにとっては、被爆後75年という大きな節目の年に当たります。
核兵器廃絶のためには、今後まだまだ粘り強い地道な努力を必要とするようです。国連でのNPT再検討会議に関連する国連本部ロビーでの原爆展。NPT再検討会議へのアピール行動。ニューヨークにおける原水爆禁止世界大会の開催など、私たちも参加を予定する重要行事が目白押しの画期的な年です。とりわけ2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」が本年中には50カ国の批准を得て発効しようかという正念場を迎える年になります。
私たちは引き続いて世界の世論に訴えるとともに、日本政府に対して外交政策の転換を求め続けなければなりません。
同時に重要なのは、国に戦争責任を認めさせる原爆死への国家補償が未だに実現していないことです。私たち被爆者は高齢者になりましたが、生き残った者の使命として、軍人と軍属、その遺族に国が補償してきた死没者対策を被爆者や一般市民の被害者に実現させるために、今後も運動を続けたいと決意しています。
東京の被爆者は2019年に5000人を割りました。被爆者の高齢化・病弱化の進展はやむを得ない現実であり、活動休止に追い込まれる地区の会も今後増えていくことでしょう。被爆二世の相談も含めて、いかに被爆者の相談にこたえる体制を維持していくのかは最重要課題であります。組織の長期展望を考える中で、少しでも長く会が活動を続けられるように、会員の皆さんと英知を結集して対処していきたいと思います。
私たちが強く願ってきたのは人類が二度とこんな悲劇を体験することがない世界の実現です。そのために被爆者の証言活動は引き続いての重要課題です。同時に、実体験した被爆者が老齢化していく後の証言対策も課題です。
このところアメリカとイランの確執で中東情勢もきな臭くなってきました。地球温暖化対策も、人類存続のために対策を要する喫緊の重要課題です。世界の為政者が自国第一の考えを脱することを切に望んでやみません。
本年も皆さんとともに、核廃絶と原爆被害への国家補償の実現に向かって邁進しましょう。