被爆者相談所および法人事務所
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厚労大臣との定期協議 初めての一問一答形式も内容に進展なし

 今回も年末が迫った2019年12月18日に日本被団協、原爆症認定集団訴訟原告団・弁護団と厚生労働大臣との定期協議が厚生労働省の会議室でおこなわれました。暮れの押し迫った時期、1週間ほど前に開催日時が厚労省から知らされたなか、全国から約100人の被爆者と支援者が、東友会関係では支援者、被爆二世を含めて42人が参加しました。これは2009年8月6日に、内閣総理大臣・自民党総裁と日本被団協が交わした「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」に基づき開催されているもの。
 交渉団席に東友会の家島昌志代表理事など日本被団協から8人、東友会の奥田豊治監事、綿平敬三常任理事など3人、弁護団3人が原告団席に着いて協議に臨み、厚労省側は加籐勝信厚労相、宮嵜雅則健康局長、小野雄大被爆者援護対策室長ら5人が参加しました。
 協議は、最初に加藤大臣と日本被団協の田中重光代表委員がそれぞれ挨拶した後、被爆者2人が原爆症認定審査の問題点を自身と家族、知り合いの被爆者の体験と思いから訴えました。
 続いて、原爆症認定問題について提出している「被爆者問題に関する統一要求書」に基づき、宮原哲朗弁護士から一問一答形式で協議をすすめることが提案され、「確認書」「原爆症認定制度の改善」「その他の要望」についての協議が進められました。
 日本被団協の木戸季市事務局長は、「定期協議の場を通じて解決をはかると首相が約束して10年間、厚労相はどのような努力をしたのか」などと厳しく追及。中川重徳、安原幸彦両弁護士も裁判の判決内容を挙げて、厚労大臣の認識を問いかけました。
 さらに日本被団協の独自の要請については、日本被団協代表理事でもある東友会の家島代表理事が担当。「被爆者援護法を国家補償の法に改定、非核三原則の法制化、『核兵器禁止条約』の批准などとともに、被爆者健康診断の充実、介護問題の施策の充実を要請。被爆二世の施策についても、二世自身が要望を述べました。
 大臣からは被爆者側が求めている原爆症認定に関する制度の見直しや原爆被害への国家補償、核兵器廃絶問題、現行制度の改善などについては従来の回答をくり返すだけで前向きな回答はありませんでした。しかし、協議の持ち方、時期の検討についてだけは検討すると回答しました。
 参加者からは、「一問一答にしてよかった。加藤大臣が自分の言葉で話したことだけが今回良かったことだ」、「被爆者はどんどん年を取っているのに、こんな協議を続けていても間に合わないと思う」、「大臣との協議に毎回出てきたが、何の成果もない。急な案内だったので予定をキャンセルして来たが、協議に意味があると思えない」などの厳しい声があがっていました。

挨拶する加藤厚労大臣
横一列に並べられた机に着席する被爆者たち。一人は立ってマイクを持ち発言している。
被爆者側の代表
何列にも並べられた椅子を埋める傍聴者たち。
傍聴席には全国から被爆者が