ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟が勝訴 国・厚労省は控訴せず判決確定
2016年10月27日、大阪地方裁判所でノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟の判決言い渡しがあり、原告が2人とも勝訴し、厚生労働省はこの判決を受け入れました。
この判決を受け、東京では東友会の大岩孝平代表理事、家島昌志・村田未知子執行理事、日本被団協の濱住治郎事務局次長と、全国弁護団の宮原哲朗・中川重徳弁護士が厚生労働省を訪問し、日本被団協の提言にそった原爆症認定制度の改定を要請。記者会見をおこないました。
番号 | 判決 | 申請病名 | 性別 | 被爆時年齢 | 被爆地 | 被爆場所・状況 | 国の主張 |
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1 | 勝訴 | 陳旧性心筋梗塞、腹部大動脈瘤 | 男 | 13 | 長崎 | 直接被爆3.1キロ(伊良林町) 8月12日、銭座国民学校付近(1.5キロ)まで入市。 |
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2 | 勝訴 | 乳がん | 女 | 13 | 長崎 | 直接被爆3.8キロ 8月11日頃、爆心地付近を通過し、道ノ尾まで。 |
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裁判でしか認定されない現状の変革を急げ
原爆症認定集団訴訟以後にすすめられているノーモア・ヒバクシャ訴訟の地裁判決は、東京、名古屋、大阪、岡山、広島、熊本の6地裁で、70人に言い渡されています。
勝訴率は、厚労省が自ら審査方針を広げて認定した原告18人を含めると、86.4%。裁判所が原爆放射線との因果関係を認め原爆症と認定した病名は、厚労省が認めていない脳梗塞、慢性腎不全、慢性心不全、狭心症、腹部大動脈瘤、バセドウ病などに広がっています。それも、厚労省が指定している被爆距離を超えた地点で被爆していたり、指定した期間より後に入市した人も勝訴させています。
勝訴した70人のうち厚労省は12人しか控訴せず8割以上を原爆症と認定しています。この原告たちは、裁判をしなければ認定されなかったという人がほとんどです。
日本被団協と東友会、原告団、弁護団は、提訴の有無で認定が分かれる不均衡をなくすめたに、審査方針の改定を求めて、11月から政党・国会議員への要請を強めることにしています。