被爆者相談所および法人事務所
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「被爆者年末お見舞い行動」報告 訪問を待っている被爆者がいる

 2012年12月8日、東京原水協と東友会が共催する48回目の「被爆者に年末見舞金を贈るつどい」が開かれ、東京原水協から東京の被爆者にお見舞金が贈呈されました。クリスマス前から年末にかけて被爆者地区の会と地域原水協は、区市町村ごとに被爆者を訪問し、お見舞金を届けました。この年末訪問活動は48年間たゆまず続けられており、のべ1万6624人の被爆者に累計3055万円が届けられたことになります。
 あわせて、「暖かい冬を過ごしていただきたい」と東都生協の組合員から贈られた膝掛けなどの編み物62点も届けられました。
 報告のあった地区の様子を紹介します。(まとめ・要約:編集部、掲載順不同)

「年末お見舞金を贈るつどい」の様子。参加者は地域ごとの席に座っている。
2012年12月に開かれた「年末お見舞金を贈るつどい」

江東区

 12月23日、江東区役所前に10時に集合し、区職労の方と3班に分かれ自動車、都バスを使い、前日電話連絡しておいたお宅に訪問。原水協と江友会の年末見舞金を届けました。
 ただ当方の手違いで当日届けることができなかった2人には、改めて翌日届けました。
 足の不自由な方が多く、階段の上り下りがたいへんだと聞きました。寝たきりの方もおられましたが、趣味の絵画、写真などでがんばっている方もおられるなど、状況は様々でした。
 原爆被害にうちひしがれるのではなく、前向きに生きておられる様子が印象的でした。(森貞士)

寝たきりの方と、ベッドの横に座る家族の方と、訪問者。全員が笑顔。
寝たきりの被爆者をお見舞い(江東)

墨田区

 12月26日に、墨田原水協の人たちとお見舞金を届けにいきました。
 今回訪問したのは3人。そのうちのお一人は、当日の朝に背骨を圧迫骨折して緊急入院され、お会いすることができませんでした。
 他の2人のうち、Kさんはいっさい外出ができない寝たきりの生活になっておられました。訪問すると「いつもご心配いただき申し訳ありません」と恐縮されていましたが、お見舞いは喜んでいただけました。
 Nさんは、腰と膝の障害で週3回通院。外出時は奥様に付き添ってもらっているとのことでした。東都生協のみなさんから送られた編み物、「この冬、大事に使わせていただきます」と喜ばれていました。(湊武)

玄関で見舞金などを手渡す訪問者と、受け取る訪問先の方。
声をかけ励ます(墨田)

江戸川区

 12月23、24の2日間で、江戸川原水協の人といっしょに年末見舞い訪問をおこないました。原水協の方がたには自動車を出していただきお世話になりました。
 ホームにおられるMさんは、顔、背中、両脚に大やけどを負った被爆当時の様子を話されました。1年ほど前に新宿からこのホームに移ったことや、歳とともに身体は悪くなるものの、編み物を生き甲斐にして教室を開いていることなどを話されました。
 他の訪問先の被爆者も、体調がよくない方たちばかりですが、私たちを前に積極的に話をされたことに感動を覚えました。被爆者はむしろ、話を聞いてくれる訪問者を待っているようです。
 今後の課題として「被爆体験の継承」とともに、「積極的な高齢被爆者との接触」を中心にすべきだと感じました。(高比良毅)

施設内の丸いテーブルの周りの椅子に座る訪問者と訪問先の方
ホームで歓談する(江戸川)

北区

 2012年(2011年)の訪問者10人中2人が亡くなられ、1人が転居されました。
 2012年のお見舞いは、12月23日に8人を訪問。前日に訪問先には電話を入れておきましたので、それぞれお見舞金をスムーズに渡すことができました。
 そのうちのお一人、Fさんは、最初にお訪ねしたとき在宅のようなのになかなか出てこられず心配しましたが、他の方を訪問したあと再度訪問しました。96歳の男性で広島被爆。戦時中は高射砲部隊の隊長をしていた話をされていました。現在は独り暮らしですが、日常生活には支障はないとのことでした。
 他のみなさんも、それぞれ持病はあるものの、それなりにがんばっておられるようでした。(橋アサ子)

室内で見舞金などを手渡す訪問者と受け取る訪問先の方
気持ちを込めて見舞金を渡す(北)

中野区

 東京原水協からの年末見舞金は、中野長広会からの菓子折を添え、年末の14日から25日にかけて、役員5人と中野原水協代表とで、手分けして配りしました。
 ベッドで睡眠中の人や病院やデイサービスに行っていて会えない人もありましたが、みな病気と闘っている人ばかりであり、訪問を感謝されました。
 厳しい寒さのこの冬を、心だけでも温めて乗り切って欲しいと切に願いました。(家島昌志)

日の入る室内で見舞金などを手渡す訪問者と受け取る訪問先の方
どうぞお元気で(中野)

三鷹市

 三鷹・三友会は12月23日、東京原水協から贈られた年末見舞金と三友会としての見舞金を持って6人の被爆者を訪問。お見舞い金を届けました。訪問に参加したのは、三友会から4人、三鷹原水協から1人の計5人。
 贈られた被爆者はたいへん喜び、近況や原爆への思い、東友会のニュースを見ての感想などを話してくれました。
 訪問して話ができた5人は、いずれも80歳以上の女性。3人が独り暮らし、うち1人は1食500円の配食ぐらし。1人は夫と息子の3人暮らしでその夫は施設通いで当日は不在。1人は昼間は息子がいますが夜だけ独り暮らしでした。会えなかった男性1人は当日病院に通院していたことがあとで分かりました。
 高齢化の現状に胸を熱くしながら、今後の被爆者対策の強化を確認し合いました。(山本英典)

庭先に立つ訪問者と見舞金などを受け取った訪問先の方
気持ちが通じ合い笑顔を交し合う瞬間(三鷹)

八王子市

 2013年も東京原水協の年末見舞金をお届けしました。お届けしたのは12人の方がたです。
 Mさんは脊柱管狭窄で足腰が痛く、しびれ、手術なさったのですが痛みはとれず、いまは相模原の介護施設に入所しておられます。訪ねるとたいへん喜んでいただき、お土産にカステラをもらったりしてかえって恐縮しました。
 Sさんは白内障で両目が見えず、年明けに手術の予定。Uさんは腰に近い背骨の骨折です。
 Eさんは認知症で孫娘だけに話しかけるとのことですが、原稿用紙10枚に書かれた被爆体験の手記をいただきました。いずれみなさんに読んでいただこうとおもいます。
 「子どもがガンで……」という方もあり、被爆二世の制度など東友会の「25のポイント」をお渡ししました。ご家族と一緒に被爆者制度をよく理解し、正しく活用していただきたく思います。(伊藤雅浩)

ベッドの横で椅子に座る訪問者と訪問先の方
施設をお訪ねお見舞いしたひととき(八王子)