被爆者相談所および法人事務所
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東友会と東京都福祉保健局が懇談 要望に都から前向きの回答

被爆2世の医療券の更新、健康診断の内容改善など

 東京都福祉保健局と東友会との懇談会が、2012年7月18日午後おこなわれました。懇談会は毎年、東京都から被爆者施策の改善についての説明、東友会から次年度予算についての要望を話し合う場として開かれ、今回で21回目。都側から高橋郁美・福祉保健局保健政策部長ら6人、東友会からは飯田マリ子代表理事ら44人が参加。東友会が一般社団法人になって初の懇談となり、被爆二世施策などで前進がありました。

被爆証言と切実な要請

 参加者の紹介のあと、都の大島靖被爆者援護係長が、介護手当に係わる領収書の手続きの簡素化などについて説明。東友会からは飯田代表理事があいさつに立って東京都に感謝をのべ、三鷹の佐野博敏さんが被爆体験を証言しました。
 佐野さんは、母親の安否を確かめるため1週間、広島市内を探し回り、ようやく隣の呉市の救護所で捜し出した苦労と、そのときの広島の様子、その後の生活、放射化学の研究者であった立場から、現在の原発問題などについて発言。この証言は被爆者担当以外の都職員が多数参加し、熱心に耳を傾けました。
 つづいて東友会から、被爆者と被爆二世の実態を紹介しながら次の6項目について要請しました。
(1)被爆者・二世の実態調査の実施について山本英典業務執行理事、(2)被爆者と被爆二世の健康診断の充実について村田未知子業務執行理事、(3)一般疾病医療機関名の案内と介護手当申請の簡素化について的早克眞相談員、(4)被爆二世の制度の啓蒙と健康診断の充実、医療費助成について堀場和子理事、(5)被爆資料の収集、保存、活用、都庁原爆展への援助について大岩孝平業務執行理事、(6)東友会の委託事業費の増額について木場耕平業務執行理事。
 さらに参加者からの要請として、町田の深堀寛治さんが原爆症認定審査のあり方について発言しました。

課長から前向きな答弁

 これらの要望について都の阿部敦子疾病対策課長は、次のように答えました。
 (1)実態調査については、国が平成17年度におこなった被爆者調査の東京都分を入手して分析し、行政に役立てたい。(2)健康診断内容の改善については、甲状腺機能検査の追加など、国に要請する。被爆2世の医療券の更新期間については、平成25年度中には、現行の1年更新が延長できるようにしたい、廃止はできないが延長はできる。(3)原爆資料の保存については、貴重な資料なので都立図書館や学校などで保存するよう積極的に協力したい。(4)予算の増額はむずかしいが、被爆者援護の事業が円滑にすすむようにしたい。(5)都庁内での原爆展は職員が見に行くようにする――など。
 東友会は、これまでにない明快で前向きの答弁をえたと評価。これらが確実に具体化されるよう都福祉保健局を後押ししていくことを確認。山田玲子業務執行理事の閉会あいさつで懇談会を終えました。

並べられた机に着席する参加者たち。
東京都との懇談に参加した各地区の被爆者たち