都健康局と東友会が懇談 健康管理手当更新の簡素化など要請
1995年度から続いている東京都と東友会の懇談会が2003年1月15日に都庁内で開かれ、都側から金田麻里子医療サービス部長、清古愛弓疾病対策課長、吉田文代被爆者援護係長など6人、30区市の被爆者61人が参加しました。
都側から、金田部長のあいさつと、老人医療費一部負担金の払い戻し手続きの変更について説明があった後、東友会の横川嘉範副会長が、毎年の恒例になったこの懇談会開催の経過にふれてあいさつしました。
東友会の最初の訴えは山田玲子救援部長の証言でした。山田さんは小学校5年生のときの広島での被爆体験から「あのとき、私は死のなかで生きてきた」と証言。「2002年、介護手当のお世話をした人が直後に入院し受給できなかったことを後悔している。2003年はあう時間を増やしたいと思う」など、地区相談員の思いも伝えました。
健康管理手当の審査で
その後は、東友会の代表が要請をおこないました。
一つ目は「健康管理手当の審査」。国が指定していない「現在の治療状況」や「検査年月日」を記入するよう、東京都が診断書に刷り込んでいること、変形性脊椎症など運動器機能障害で申請するときに治療の継続と日常生活の動作障害がないと認定しない問題について、藤平典副会長が全国の事例や在外被爆者・郭裁判の大阪高裁の判決文を紹介しながら、是正するよう要請しました。
被爆者調査を
二つ目は、「被爆60年 被爆者・被爆二世調査」について山本英典事務局長が、「1975年から実施されている都援護条例の成果と東京に住む被爆者と被爆二世の実態を調べ都の財産にするために30年ぶりの最後の調査として実施してほしい」と要請しました。
委託事業費で
飯田マリ子副会長が、被爆者から信頼されて東友会の相談件数が増えていることや、出張相談会の成果を紹介しながら、「委託事業費の実態に見合った支給をお願いしたい」と要請しました。
医療機関に要請
三宅信雄委託事業部長が、「医療費の払い戻し手続きは、被爆者一般疾病医療機関が増えれば解決される。都が医師会などに要請した公文書のコピーを持って、地域で依頼したい」「と要請しました。調布市の田邊俊三郎さんからは、「都が歯科医師会に働きかけてくれたので、被爆者手帳が使える歯医者が増えて助かる」という発言と、都立植物園などの入園料を身障者並にしてほしいという要望も出されました。
健康管理手当更新診断書 都だけで是正を
これらの要望について清古課長が、「健康管理手当の審査は従来と変わらない。診断書に追加している部分は国に確認し適正化につとめたい。東京が厳しいとは思わない。調査など予算を伴うことは、要望として聞く」などと回答した後、懇談に入りました。
健康管理手当については、「都が健康管理手当の更新の診断書に加えた項目は他県にない項目なので、都の判断で削ることができるはずだ」「診断書に『現在の治療状況』を刷り込むのは、治療をしなくてはダメという意味だ。しかし、国が上告を断念し確定した大阪高裁判決とは違う」「検査の日付とか治療状況を知りたいという審査会の認識が間違っている。都が指導してほしい。健康管理手当は治療手当でも療養手当でもないはずだ」などの発言が続きました。
また、原爆症認定集団訴訟への参加を希望している三鷹市の大森克剛さんが、1年間で大腸ガンと胃ガンの二度の手術を受けた苦しみを証言。「医師は診断書に、『被爆との因果関係がある』と書いてくれた。孫から『日本は戦争してたの』と聞かれ、被爆のこと、生き残った者の苦しみをしっかり伝えなければと思って申請した」と話し、感銘を与えました。