被爆の実相を伝える事業の具体化を 予算要望ヒアリング
都議会4会派と率直に意見交換 2025年の要望の重点は
東友会は2025年も、都議会4会派からの求めにより、8月27日と9月4日に予算要望ヒアリングに応じました。
2025年の要望の重点は、日本被団協のノーベル平和賞受賞を契機に、被爆の実相を残し伝える東京都の事業を早急に具体化すること。そのために、保健医療局、生活文化局、建設局など別々に対応している平和事業の窓口を一本化し、事業をただちに具体化してほしいと要望しました。
「被爆者の記憶を残す」事業は、「日本の若い世代が被爆者の経験とメッセージを受け継いでいる」とノーベル平和賞の授賞理由のひとつになりました。被爆国日本の首都・東京でも、この取り組みが広がるようにと求めたものです。これは、すでに1995年3月に発せられた「東京都民平和アピール」でも強調されている事業ですが、30年が経過した現在でも、ほとんど進展がありません。
東京都との委託事業では、高齢被爆者を対象にした東友会の相談事業の水準が保たれるよう、委託事業費を減額せずに支給してほしいこと、東京都主催の「原爆犠牲者追悼のつどい」の開催を継続し、東友会が実施主体として企画運営ができるようにしてほしいと要望しました。
被爆者と被爆二世の健康診断については、東京都被爆者援護条例の趣旨を生かして、検査項目を追加してほしいこと、二世の受診機関を広げることを要望しました。
各会派との懇談は
今回、ヒアリングをおこなったのは4会派。東友会は、協議会役員15人が都議会を訪ね、各会派と懇談しました。
最初のヒアリングは8月27日。都議会最大会派の都民ファーストの会。総務会長の荒木ちはる都議などほとんどの議員が参加し、東友会の要望を熱心に聞き取りました。都議団側からは、子どもたちに戦争の記憶を伝えることの難しさなどについても発言がありました。

都議会公明党からは小林健二幹事長代行などが参加。東友会のヒアリングにはじめて参加する議員が多く、要望内容は深まりませんでしたが、東友会からは、委託事業費増額の道を開き、「平和の党」を標榜する同党に東京都の平和施策の根本的な強化を強く要請しました。

この日の最後は、立憲ミライネット・無所属の会。西沢けいた団長などからヒアリングを受けました。平和問題は重点としていること、東京大空襲被災者の証言のデジタル化を東京都がすすめていることが報告されました。

9月4日は日本共産党都議団。とや英津子政調会会長などが対応しました。東友会の要望を全面的に生かすこと、とりわけ緊急の施策として、東京に住む被爆者の記録を残すことにとりくみたいとの回答がありました。

都議会自民党は、例年と同様に、文書による要請のみとなりました。
この後、東友会は役員会などで検討し、被爆の実相を東京都が残し伝える事業として、都議会議員に被爆体験を聞いてほしいと依頼することにし、9月16日に各会派に要望書を届けました。
予算要望ヒアリングとは
東京都の次年度予算編成にあたり、都民の要望、現場の実態などに耳を傾け、都民の声を反映した公平な予算にする目的で、都議会の各会派が開いているものです。
東友会は、東京都の被爆者団体として被爆者の実情や要望を伝えるとともに、相談事業に関して東京都から委託費を受けていることもあり、毎年この時期に都議会各会派が東友会を招いてヒアリングをおこなっています。そして東友会は、被爆者・二世の要望を率直に申し述べ、各会派の都議のみなさんと忌憚のない意見交換をしています。