東友会相談事業の2024年度実績 相談件数は減るも内容は深刻に
東友会原爆被爆者相談所に寄せられた2024年度(2024年4月から2025年3月)の相談実績がまとまりました。2024年度の相談件数は1万0956件となり、前年度から800件余り減りました。近年の相談件数と比べると、2020年度以降2024年度までに数千件減少し、2021年度からの年度ごとの相談件数は1万1千件台で推移しています。
年度 | 相談件数 | 相談件数のうち二世に関する相談の件数 | 被爆者数 | 被爆二世数 |
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2015年度 | 16,774 | 2,912 | 5,758 | 7,458 |
2016年度 | 15,070 | 2,870 | 5,487 | 7,673 |
2017年度 | 15,820 | 3,278 | 5,203 | 7,936 |
2018年度 | 15,344 | 3,472 | 4,921 | 8,130 |
2019年度 | 15,593 | 3,358 | 4,691 | 8,231 |
2020年度 | 14,179 | 2,964 | 4,402 | 8,370 |
2021年度 | 11,694 | 2,881 | 4,087 | 8,553 |
2022年度 | 12,191 | 3,015 | 3,838 | 8,664 |
2023年度 | 11,771 | 2,962 | 3,557 | 8,830 |
2024年度 | 10,956 | 3,103 | 未発表 | 未発表 |
件数に現れない課題も
この現状は、被爆者数の減少という背景はあるものの、相談してくる被爆者が高齢となり、自力で手続きができない、てきぱきと相談することができなくなっている、地域で相談会を開いても参加できなくなっていることなどが理由と考えられます。
その分、被爆者の家族からの相談は増えていますが、家族が「被爆者の制度」のことを何も知らないというケースがしばしばあります。そのため、制度の細かい部分まで説明が必要になり、1件あたりの対応に時間がとられることが増えました。
介護関連はより細かく
とくに介護問題での相談が多く、ヘルパーの派遣や被爆者の「介護手当」関連だけでなく、介護保険の利用、施設に入る際の相談も多く寄せられ、東友会相談員が介護保険の施設に連絡して対応を依頼する事例も出ています。
被爆者の代わりに、家族、入院・入所先の職員、訪問介護や訪問看護を担当する施設の医師やケアマネジャーなどからの相談・問い合わせも相次いでいます。
被爆二世も高齢化へ
被爆二世からの相談も増えています。内容としては、親である被爆者の制度活用の相談もありますが、被爆二世自身の相談も増えているのが特徴です。
被爆二世も、平均年齢が60歳、最高齢が80歳近くになりました。こういう状況を背景に、健康や医療、介護の問題での不安や助成を求める人が急増しています。具体的には、退職後の健康診断の受診、医療費助成、原爆放射線の影響、さらには三世の健康状態の不安の声も寄せられています。
現在、原爆を受けた被爆者から子や孫にどういう影響があるかは明らかにされていませんが、不安を払拭することはできません。そうした不安から東友会に電話をしてくる人も少なくありません。
相談活動の質の維持を
東友会に電話してくる被爆者のなかには、被爆から80年生きてきた生き様を途切れ途切れに、ときには泣き出しそうになりながら語る人もいます。被爆者の死亡連絡が多いのも、仕方ないとはいえ心が痛みます。
日々、多様な相談を受けている相談員の実感としては、相談件数は減っても、内容はますます深刻で、難しい対応が必要になっている、といえます。被爆者、被爆二世、家族に寄り添い続けていく相談事業活動が、ますます求められていると痛感しています。