被爆者相談所および法人事務所
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書評 「原爆とたたかい続けて 東京の原爆症認定訴訟」 家島昌志

 本書は、東京でたたかわれたノーモア・ヒバクシャ訴訟の記録集です。
 原爆症認定をめぐっては、2003年から始まった集団訴訟があり、2009年8月に当時の総理大臣と日本被団協・原告団・弁護団との間で交わされた「確認書」により、国が1審勝訴原告の訴えをすべて認め、敗訴原告も法的措置による基金を設けて救済するという異例の決着をみました。しかし、厚労省がおこなった数度の認定基準の改正を経ても、その後の認定行政は、集団訴訟の司法判断を取り入れて改善されることはありませんでした。
 そこで、第2の集団訴訟ともいうべき「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」が全国で提訴されることとなりました。2011年、全国で120人の原告による訴訟が始まり、7割以上の勝訴率を挙げるという行政裁判では例のない結果を勝ち取りました。東京でも集団訴訟の積み残し原告を含め、1次、2次あわせて32人が提訴。東友会も全面的にこの裁判を支援することを決め、裁判の傍聴などを呼びかけました。結果として、自庁取り消しも含めて全員が勝訴するという、これも行政裁判では前例のない成果を挙げました。
 本書は、東友会結成65周年記念と時を同じくして上梓され、記念式典で参加者に配布されました。
 記録集を読むと、僅かな記憶を呼び起こして被爆の実相を訴えようと証言に取り組まれた原告の努力は無論のこと、勝訴に向けた努力された弁護士や医師の方々の熱意・努力・工夫が全編にわたって読み取れます。

「原爆とたたかい続けて東京の原爆症認定訴訟」表紙
原爆とたたかい続けて 東京の原爆症認定訴訟
  • 編集:「原爆とたたかい続けて」編集委員会
  • 発行:ノーモア・ヒバクシャ訴訟東京弁護団 ノーモア・ヒバクシャ訴訟東京原告団
  • A4判123ページ
  • 頒価1000円(送料別)