ノーモア・ヒバクシャ訴訟 大阪高裁が不当判決
放射線被曝より他原因を偏重
大阪高裁は2016年2月25日、心筋梗塞で原爆症認定を求めていたノーモア・ヒバクシャ訴訟の原告について、原告勝訴の一審判決を覆して認定却下の不当判決を下しました。
原告の梶川一雄さん(すでに死亡)は1945年8月6日、広島の爆心地から7キロの鯛尾の陸軍施設で被爆。9日から12日まで元安橋(爆心地から200メートル)を通って爆心から1.5キロの横川町で死体処理や救援活動をした人。心筋梗塞で原爆症認定を申請していました。
一審の大阪地裁は、梶川さんが救援活動で残留放射線を浴びたことを認めて勝訴判決。しかし国は、他の原因を挙げて控訴していました。
大阪高裁では、国が初めて専門家の証人を立てるなどして反論。判決は、原告が残留放射線を浴びたことは認めましたが、喫煙歴や糖尿病など他原因を挙げ、放射線の影響とは確信できないといって一審判決を覆しました。
これまでの裁判は、喫煙歴などがあっても原爆放射線を浴びた影響は否定できないとして原告が勝訴してきましたが、今回の大阪高裁判決はこの流れに逆行する判決です。
遺族と近畿弁護団は、声明を発表し、最高裁に上告しました。東友会と東京弁護団は、厚労省を訪ねて交渉。認定制度の抜本的な改定を求めました。