被爆者相談所および法人事務所
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東友会医療講演会 放射線被ばくと人体への影響について講演

 東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故から1年を間近に控えた2012年3月4日、東友会は「医師の目で見た福島原発の事故と放射線被ばく」のテーマで医療講演会を開きました。講師は27年間、被爆者の診療に携わりIPPNW(核戦争防止国際医師会議:1985年にノーベル平和賞受賞)に参加している向山新医師。品川区中小企業センターには、被爆者、被爆二世、三世とインターネットで講演会を知った青年など75人が参加しました。

原爆と原発の違いから被ばくの基本まで説明

 講演会の最初に、広島・長崎の犠牲者とともに東日本大震災の犠牲者への黙祷が献げられました。
 向山医師は、51枚のスライドを映写しながら、原子力発電所のしくみから原爆と原発の違い、福島原発でおきたことから講演。原発から放出された放射線の種類から、その拡散、人体への影響、放射線の単位まで、挿絵を使ってわかりやすく説明。「広島・長崎の被爆者の死亡率を引き上げたのは、被曝線量。国と地方自治体の責任で、無料の医療や健康診断を実施するとともに、被害者の生活を保障させることが重要」「世界中の英知を集めて原発の事故を収束させ、自然エネルギーの活用などで原発から脱却しよう」とよびかけました。
 参加者からは、放射線の専門的な内容や「67年前の原爆で受けた被曝線量を調べる方法がないか」「福島原発の事故で東京も被曝していると聞いている。今後、注意することを知りたい」などの質問が続出。向山医師は、そのひとつ一つにていねいに回答しました。

国民的に高い関心事 手を携えて克服しよう

 講演会の最後にまとめのあいさつをした山田玲子常務理事は、「向山医師は、どのような被害が出るかは『めやす』でしかないと話された。福島原発の『被曝者』も私たち被爆者も同じ不安を持ち続けて生きていかなければならない。手を携えて、『被ばく』による被害をなくそう」とよびかけました。
 参加者から「焚き火にたとえた放射線と放射能の区別やベクレルとシーベルトの説明を聞いてよくわかった」「いままで問題になっていない福島原発4号機の使用済み核燃料が爆発する不安について初めて聞いた。たいへん驚いた」、22歳の被爆三世からは、「被爆二世の母と参加した。もっと私たちの世代も向きあうべきことなのだと考えさせられた」などという感想が多数届きました。

マイクをもって立ち講演する医師と、並べられた机に着席してそれを聞く参加者たち。
社会的に関心が高いテーマに質疑応答も活発でした
講師の向山医師