300号記念特集1
被爆者の声、東友会の運動を伝え続けて50年
過去・現在・未来をつなぐみんなの新聞に
2009年10月、「東友」が発刊300号を迎えました。1959年(昭和34年)1月25日が発刊第1号。「新春にあたり 御挨拶」と題して、及川儀右エ門代表理事(当時)が、東友会の責務と新聞発行の役割を述べています。 「原爆投下という空前の悲惨事の爪痕が、私たちに不安の影を濃くしている。原子戦争の絶滅をはかることは、亡くなった同胞への手向けであり、人類にたいする責任でもある」「一般の理解と協力を得るため広報活動をなす」(要旨)。
「東友」は、東京に住む被爆者の心と心をつないで、励まし合い、助けあって、核兵器廃絶と生活向上に向かって運動する姿を、毎月の紙面に刻み込んできたのです。
東友会は、1958年11月16日に結成され、機関紙「東友」は翌59年1月25日に発刊されました。第1号には、東友会結成の報告と会活動のさしあたりの方針を掲載。このなかで広報活動については、「一般の理解と協力をうるため広報活動をなす」と述べています。東友会の結成は、第五福竜丸のビキニ被災事件からはじまった原水爆実験禁止運動に励まされてできたもので、「結成宣言」では次のように述べています。
「私たちは原爆の恐ろしさを身をもって経験したばかりではなく、各国の原水爆実験によって私たちの傷跡には更に新しい放射能が累積しつつあります。
私たち被害者は……原水爆のないほんとうの平和にするため、純粋に、素朴に、協力したいと決意するものであります」
被爆者の要求を紙面に
「東友」の紙面は、1号から40号までB5判のザラ紙でした。発行日は不定期でしたが、1年に5、6回は発行されていました。当時重視されていたニュースは、被爆者の医療・健康相談。被爆後長年放置されてきた原爆被爆者への医療施策が、「第五福竜丸乗組員には手厚い医療、被爆者への医療はゼロ」の状況でいいのかという声が高まり、被爆から12年目の1957年4月にようやく「原爆医療法」が実現。しかし内容がお粗末なものだったため、東友会は法の活用とともに改正要求を出して運動。毎年のように部分改正をかちとってきました。
紙面大型化で情報量アップ
「東友」の紙面がタブロイド判(普通新聞紙の半分大)に広がったのは1967年の第40号から。この号は「援護法制定特集」で、「なぜ私たちは援護法を政府にせまるか」「23年の苦しみをいまこそ政府に」という運動を伝えるものでした。援護法要求に、政府は翌1968年9月「原爆特別措置法」を制定しました。日本被団協は「原爆特別措置法は援護法にあらず」と声明、「国家補償の援護法を求める決議」を採択し、以後今日までこの旗を掲げ続けています。
定期月刊化の実現へ
「東友」は、1993年12月に転機を迎えます。現在のような新聞スタイル(B4判4ページ)になったのです。月刊にして「低料第3種郵便物」の認可をとろうという計画が出てきたからです。低料第3種郵便物になると郵送料は1通80円から15円になります。製作の実務負担や経費を心配する慎重論もありましたが、当時の広報委員会は「紙面はワープロで自前で作る」「伝えることはたくさんある」「発送作業は『猫の手会』にお願いしたい」と議論を深め、実現にこぎつけました。
決して楽な道のりではありませんでしたが、それでも郵便代が安くなった分で経費が間に合う状況となりました。2003年10月号からは製版も自前製作となり、いまでは完全データ原稿を印刷業者に渡せるようになりました。
東友会の運動と一体に
「東友」は、時どきの重要課題にとりくむ東友会の運動の報道を軸に、「地区だより」などで被爆者同士の交流をはかり、1・6月号には募金を寄せられた被爆者・支援者のお名前を紙面で紹介し、みんなに支えられた運動という初心を忘れないよう紙面に反映させるなど、毎月知恵をしぼって発行されています。
「東友」のあゆみ
- 1958年11月 東友会結成。
- 1959年1月 「東友」創刊。題字横書き、地紋なし、B5判タイプ印刷。(1980年まで年8回~3回程度の不定期刊。運動高揚時には数多く号外、特別号を発行。)
- 1967年3月 39号からB4判に。題字縦書き、地紋なし。
- 1967年4月 40号からタブロイド判に。
- 1978年1月 76号から題字が現在のものに。
- 1981年1月 92号から年2回の定期刊。
- 1984年7月 「猫の手会」結成。「東友」の発送などを担当。
- 1988年1月 100号を発行。
- 1994年3月 113号から月刊化。(準備は1993年から)内製化(事務局で印刷用版下を作成)。1月、6月号はタブロイド判、他はB4判。
- 1994年6月 低料第三種郵便物認可。
- 1998年7月 165号からすべてB4判、内製に。
- 2001年6月 200号を発行。
- 2003年10月 228号から「東友」内製を委託。紙面変更、活字サイズを大きく。
- 2006年1月 完全データ入稿に。(事務局でコンピュータによる製作)。
- 2009年10月 300号を発行。紙面変更、活字サイズをさらに大きく。
300号記念特集ページもくじ
- 被爆者の声を、東友会の運動を、伝え続けて50年(このページ)
- 「東友」はどのように作られているのか
- これからも待ち望まれる「東友」に 新たなステップへすすむ「東友」をめざして