いま「核戦争の生き証人」はどうすべきか 東友会学習会
核兵器廃絶をめぐる世界の動きを学ぶ
「核兵器廃絶をめぐる世界の動き――いま私たち『核戦争の生き証人』はどうすべきか」と題する東友会主催の学習会が2022年11月19日、平和と労働センターで開かれ、被爆者、被爆二世、支援者を合わせ38人が参加しました。
講師は、国際法を専門とする明治大学の山田寿則さん。核兵器禁止条約(TPNW)の成立した背景などをおさらいしながら、第1回締約国会議(1MSP)や関連する核不拡散条約(NPT)の第10回再検討会議などの実情を、スクリーンに投影した映像も使ってわかりやすく話しました。
5年ごとに開かれるNPT再検討会議の場では、2回に1回は合意にいたらず、核兵器国が核軍縮の努力をしないまま核の脅威が増すことに非核兵器国の不満が高まり、有志国と市民が主導し「核軍縮への人道的アプローチ」によって禁止条約の成立に至ったことを強調しました。
2022年6月にウィーンで開かれた1MSPでは、禁止条約の意義を再確認する「宣言」と具体的な50項目を掲げた「行動計画」が採択され、「幻想を抱かず、楽観と決意で進む、粘り強く、核兵器廃絶まで休むことはない」と締めくくられたことを紹介。核兵器国とその「核の傘」に依存する国が頑なに拒むなかで、禁止条約が提起する「規範」や「価値」を、どう社会的・国際的に共有するかが今後の課題だと述べました。
質疑応答の時間では、「日本政府の態度に納得できない。どうしたら変えられるのか」、「核兵器を正当化する考え方はおかしい、どうすれば気づいてもらえるか」などの質問があり、禁止条約の署名・批准国を広げることはもちろん、「核兵器を正当化するのは恥ずかしいこと」といった社会的規範を広げることの重要性を再度強調。世界の人口が80億人を超えたいま、若い世代に記憶を伝えていくことをもっと意識しようという回答がありました。
学習会のあと、「署名運動などをしてはいたが、核兵器禁止条約の成立は無理ではないかと考えたこともしばしば。その条約ができ、前進していることをたいへん嬉しく思います。生きているうちはこんな日がくるとは考えられなかったからです」(被爆者、80歳代)などの感想文が多数寄せられました。