核兵器禁止条約の第1回締約国会議に参加して
被爆者の思いを語り続けること、多様な人たちと語り合うことを意識した
国連事務局もあるオーストリアのウィーンで、2022年6月21日から23日まで、核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開かれました。この会議に、日本被団協は木戸季市事務局長、家島昌志代表理事(東友会代表理事)の2人を代表として派遣しました。2人は市民団体代表らと共同し、締約国会議をはじめ様ざまな会議やイベント、要請活動に取り組み、被爆者としての役割を果たすべく奮闘しました。ここでは、家島代表理事に、現地での活動の様子と感じたことをレポートしてもらいました。
核兵器禁止条約の第1回締約国会議は、もともと2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効したあとに開催が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により2度も延期され、ようやく開催されたものです。
3日間の会議では、核兵器禁止条約の成立と核兵器廃絶の運動に前向きに取り組んできた国々の盛り上がる討議は、時間が足りないほど充実したもので、核保有国やその「核の傘」に依存する国への批判は辛らつでした。最終日には、16項目からなる「ウィーン宣言」が採択され、これと対をなす形で50項目からなる「ウィーン行動計画」が策定されました。来年11月にニューヨークでの開催が決まった第2回締約国会議に向けて、具体的なプロジェクトが動き出すことでしょう。
会議・イベントをはしご!?
前日20日には、オーストリア政府が主催する「核兵器の非人道性に関する国際会議」が開かれ、日本被団協の木戸事務局長が発言。「核兵器と人類が共存できないものである」という主張を述べ、唯一の戦争被爆国である日本政府が条約に参加しない非を強く訴えると、満場の拍手が沸きました。
この他、プレイベントとして17日にアイルランド大使館でおこなわれた世界10か国の若者50人が参加したオリエンテーションで、被爆証言をおこないました。
18日と19日は、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)主催の「市民社会フォーラム」。木戸事務局長がメイン会場で被爆者の訴えをおこない、サブイベントの被爆証言と市民の交流会には、長崎の被爆者とともに木戸、家島が参加しました。
締約国会議と並行して開かれたサイドイベント「ユース締約国会議」では、世界の大学生を中心とする若者への証言と対話に家島が二度にわたり参加。平和首長会議での被爆証言や、ウィーン大学の日本語学科の学生を対象に日本語による被爆証言をおこなうなど、駆け足で会場を移動する日々でした。
加えて、こうした会議やイベントの合間をぬって、中満泉国連軍縮担当上級代表やNPT第3回準備委員会の議長であったマレーシア大使や日本大使、メキシコ大使、国際署名で連携を深めたベトナム大使などを訪問して、被爆者の立場から核兵器廃絶の行動への要請をおこないました。
日本政府に求めたい
締約国会議にオブザーバー参加したNATO諸国の代表は、条約参加は否定しましたが話し合いの重要性は認めていました。最後まで締約国会議へのオブザーバー参加を拒み通した日本政府は、本当に広島・長崎の心を引き継いでいるのでしょうか。被爆国の政府としての責務を果たしてほしいと、強く願わずにはいられません。