被爆二世の実態と願いは 東友会と「おりづるの子」が学習会を初共催
世代をこえて核兵器被害への不安が 被爆者と二世がともに学ぶことの大切さ再確認
2022年4月3日、東友会と「おりづるの子」(東京被爆二世の会)は「被爆二世の実態と願いは 日本被団協『全国被爆二世実態調査』から」をテーマに、共催による学習会をはじめて開きました。この調査は日本被団協が結成60年事業として2016年に実施。選択肢による回答と自由記載の回答を集計・分析し、5年の歳月をかけてまとめたもの。学習会には被爆者14人を初め被爆二世17人と三世、家族、支援者の人びと40人が参加しました。
講師は、この調査の集計・分析を担当した一人、昭和女子大学の八木良広助教。八木氏はまず、2013年に東友会が結成55周年事業で実施した「東京都在住被爆二世実態調査」のまとめに携わった経験が、今回の全国調査集計に役立ったことを述べて、講演を始めました。
データが示す被爆二世の思い
講演は、全国の被爆二世3417人とそのうちのほぼ20%にあたる東京の被爆二世の682人の有効回答を比較した集計表やグラフを紙の配付資料や映像を使って進行。
「二世であることを意識する:全国78.8%、東京84.9%」、「二世として不安、悩みがある:全国60.3%、東京60.8%」など具体的な数字をあげて全国と東京の二世の意識はほぼ同じであると説明。被爆三世の健康状態への不安があること、国や自治体には医療費助成や二世健康手帳の発行。二世の健康問題についての情報交換をはじめ核兵器禁止条約締結にむけた運動(調査当時は核兵器禁止条約の採択前)、親の病気や介護の情報交換への要望が多いことも報告されました。
様ざまな立場からの発言も
質疑応答では、「無回答」の数値の表したグラフへの質問があり参加者から修正の意見がだされましたが、被爆三世や胎内被爆者からの発言もあり、世代を超えた核兵器の被害への思いと不安を語り合う場となりました。
まとめの挨拶をした「おりづるの子」副会長で医師の青木克明氏は、「このような被爆者と二世の意見交換会はとても有意義だと思う。被爆者と二世がともに核兵器廃絶を目指して活動していくためにも、今後も続けて開催していく必要がある」と発言して閉会しました。
寄せられた感想文は14通。被爆二世からは「90歳の被爆者の母からぜひ出席するようにといわれて参加し、自分が二世だと改めて気がついた」「放射線の影響、核兵器の現状について知りたい」「数字的内容で終わったのが残念」の声、三世から「自分の親や自分の世代の意識を知ることができた」の声、被爆者から「二世の弟は右半身の多発性悪性腫瘍のため終末期医療となっている。このような学習会をまたつくっていただきたい」などの声がありました。