東京都福祉保健局と東友会の懇談会 コロナ禍のなかでも誠実に
東京都福祉保健局と東友会の29回目の定例懇談会が2020年11月30日、新宿区の東京都健康プラザ・ハイジアで開かれました。1992年以降、毎年開かれているものです。東京都からは新型コロナウイルス感染症対策も兼務している成田友代保健政策部長、堂薗桂子疾病対策課長が多忙ななかを駆けつけ、被爆者援護担当の職員3人も参加。東友会側は22区市の地区の会代表の被爆者と「おりづるの子」(東京被爆二世の会)の代表、東友会相談員を含めて30人が参加しました。
懇談会は東京都側の司会で始まり、成田部長からの、深刻なコロナ禍のなかでも参加した被爆者に感謝し75年間も続く被爆の苦しみに寄り添った温かい挨拶の後、参加した都職員の紹介がありました。東友会側に司会を交代した後、参加者全員で黙祷。東友会の家島昌志代表理事が被爆者援護担当の職員の日頃の支援に感謝を述べ、東友会関係の出席者全員が紹介されました。
恒例の被爆証言
2020年の被爆証言は、5歳のとき広島の爆心地から2.3キロで被爆した武蔵野市の木岡紀久代さん。倒壊した家屋の様子、翌日広島市を南から北に避難したとき少女の目に焼き付いた有様を被爆者が描いた絵のスライドを背に証言。希望する大学に入学した後、学生寮で受けた差別についても証言し、感動を呼びました。この被爆証言は福祉保健局の職員2人も参加して聞きました。
東友会の要望
2020年の東友会の要望は5項目。(1)高齢化にともなう制度の活用に関する東京都との連携について的早克真理事(相談員)が、(2)被爆者健康診断の充実、とりわけ超音波検査、前立腺がん、甲状腺機能の追加について村田未知子執行理事(主任相談員)が、(3)被爆二世の健診と医療費助成について湊武執行理事が、(4)被爆体験の保存と普及について中西俊雄執行理事が、(5)東友会への委託事業費の増額について濱住治郎執行理事が、それぞれ説明しました。
被爆二世からも要望
参加者からの発言では、広島市内の病院で30年以上被爆者健康診断を担当してきた青木克明医師(「おりづるの子」運営委員)が、広島と東京の健診データを示しながら、胃カメラによる胃がん検診の導入と甲状腺機能検査の追加の重要性を指摘。吉田みちお事務局長は、被爆二世の立場から二世健診を被爆者並に通年受診できるようにしてほしいと要請しました。
真摯な回答
回答に立った堂薗課長は、資料を示しながら要望事項のそれぞれについて丁寧に回答。とくに、胃カメラ検査などに対する国の厳しい制約のなかで、東京都が被爆者と被爆二世に対して実施できる施策をギリギリまで広げていること、国に対して制度の充実をくり返し要望していること、都独自施策の被爆二世健診についても予算確保に努めていると説明しました。
おわりにあたって
まとめにあたって東友会の大岩孝平理事は、コロナ対策に忙殺されるなかでの前向きの回答に謝辞を述べました。
成田部長は、被爆証言を直に聞ける貴重な機会であり、とくに映像とマッチした証言に感動したと、参加者を励ます挨拶がありました。
参加者は「福祉保健局が被爆者と被爆二世のためにがんばってくださる姿勢を感じた」「数字データや申請書類の実物を配ってもらって、よくわかった」「コロナ禍のなかでの優しい対応に頭が下がる」などと話していました。