被爆者相談所および法人事務所
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ノーモア・ヒバクシャ訴訟 最高裁で弁論 「要医療性」の判断が争点

 2020年1月21日、広島・愛知・長崎の原爆症認定訴訟上告審の弁論が最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)で開かれました。原爆症認定訴訟が最高裁で争われるのは2001年の長崎原爆松谷訴訟以来で、弁論が開かれるのは初めてのことです。各高裁での判決は、該当疾病の経過観察中の状態が要医療性の要件に該当するかどうかで判断が分かれており、最高裁でどう統一的な判断をするのか注目されます。

初の最高裁弁論

 この日正午、東京都はじめ全国から約80人の傍聴希望者が最高裁南門に駆け付け、傍聴券の抽選に臨み、傍聴券をを手にした約30人が入廷しました。
 法廷では、被爆者側と国側の双方から上告理由書、答弁書の陳述があり、補足の弁論がおこなわれました。国側の弁論は5分ほどで、積極的治療行為のない経過観察は要医療性がないという従来の主張の繰り返し。被爆者側の弁論は、広島の内藤淑子さん、名古屋の高井ツタヱさんが窮状を訴える意見陳述をした後で、原告代理人の弁護士が、「経過観察は重要な医療行為である。特に被爆の影響は未解明な部分が多く、経過観察には大きな意義がある」と論述しました。全体で30分ほどの弁論がおこなわれて結審となり、裁判官から判決期日は2月25日と告げられました。

正面奥に着席する裁判官たち。その右に弁論台で話す人、手前側、画面下半分は傍聴席に座る傍聴者が描かれている。
初めて被爆者が証言した最高裁の弁論(スケッチ:石飛公也)
「ノーモア ヒバクシャ! 最高裁は被爆者の声に耳をかたむけよ」と書かれた横断幕を持って並ぶ原告、支援者たち。
弁論に臨む原告たち(最高裁門前)

支援者は別会場で集会 「最高裁への手紙」を紹介

 入廷できなかった支援者たちは、入廷者を見送ったのち衆議院第一議員会館の会議室に移動。支援集会を開きました。集会では東京弁護団の森孝博弁護士が松谷訴訟から今日までの原爆症認定裁判の歩みと今回の裁判の争点を説明。日本被団協の田中煕巳代表委員が被団協の結成と運動、それによって勝ち取った政府の援護施策等について解説しました。
 最高裁の弁論が終了したあと15時50分から、原告、弁護士、傍聴者らが合流し、衆議院第一議員会館大会議室に場所を移して報告集会と記者会見がおこなわれました。
 原告の内藤さん、高井さん、日本被団協の木戸季市事務局長が支援への感謝を込めて挨拶。全国の被爆者から寄せられて最高裁に提出した「最高裁への手紙」の一部が読み上げられ、国の認定行政に対する被爆者の思いを確認し合いました。
 この日おこなわれた弁論内容について弁護団から解説があり、最後に全国弁護団長である藤原精吾弁護士が本裁判の意義について述べ集会を終えました。
 最高裁での弁論開廷は珍しく、認定訴訟では初めてでもあり、マスコミも注目。各社から取材がありました。

広い会場、並べられた机の席に座る参加者。机のあいだに設けられた通路に、高い位置にテレビカメラを据えて撮影するマスコミ関係者ら。
マスコミも注目(報告集会)