「国の償い」打ち出した「原爆被害者の基本要求」30周年記念集会
ふたたび被爆者をつくらせないために戦争被害受忍論を打ち破ろう
「今ふたたび被爆者をつくらないために『原爆被害者の基本要求』策定30周年記念のつどい」が2014年10月19日、豊島区池袋の立教大学で開催されました。記念の集い実行委員会と日本被団協が共催したもの。
日本被団協全国代表者会議を翌日に控え、全国各地から上京した被爆者や支援者、集会に賛同した学生など160人が参加。東友会からは18人が参加しました。
青年劇場の俳優による朗読構成劇を鑑賞した後、参加者たちが感想を述べ合いました。
構成劇は、合唱団「この灯」による「永遠のあかりをともす」の合唱で始まり、大学教授、高校生、被爆者の3人が登場、8月6日夜、平和公園の原爆死没者慰霊碑を訪れる人びとの思いの語らい、被爆証言から「原爆の絵」を作成する広島市の基町高校の生徒たちの取り組みとその思い、そして「原爆被害者の基本要求」作成の経過や意義が明らかにされていくという感動的な内容でした。
配布されたシナリオを持ち帰って地元でも上演したいという力強い発言も飛び出す集会となりました。
【解説】「基本要求」とは
「原爆被害者の基本要求」は1984年11月に完成・公表されました。作成のきっかけは、厚生大臣(当時)の諮問機関であった「原爆被爆者対策基本問題懇談会」が1980年12月、原爆被害の特殊性を認めながらも、結論として「戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、それは国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、すべての国民がひとしく受忍しなければならない」という意見報告を出して、被爆者の要求を退けたことでした。全国の被爆者は「あの悲惨な原爆被害をどうして受忍できるか」と怒りました。一般の戦争被害者も、子や孫を持つ母親のみなさんも、「戦争犠牲を受忍しろとは被爆者だけの問題ではない」と怒り、日本被団協は、全国の被爆者をはじめ、学者・研究者、文化人、一般市民にも意見を求め、討論を重ね、4年の歳月をかけて「基本要求」をまとめたのです。
その後、日本と世界の情勢には変化がありましたが、「戦争犠牲受忍論」は今も日本政府の基本路線です。