被爆者相談所および法人事務所
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原爆被害をくり返させないために 被爆69年目の夏も各地で行動

被爆者地区の会の活動から

 被爆69年目の2014年夏も、東京都内各地区の被爆者の会は、様ざまな活動にとりくみました。高齢化がすすむ中、自治体や支援者と協力し合いながら、「あの日」の事実を伝え続けています。報告のあった地区のレポートから一部を紹介します。

展示のほか証言と音楽のつどい 足立・足友会

 足友会は、8月5日から8日の4日間、第12回「原爆・平和・戦争を考える展示会」(区と教育委員会が後援)を区庁舎のロビーで開きました。
 広島の資料館から借りた「写真ポスター」、被団協の「原爆と人間パネル」、東京大空襲の絵、福島原発関連の資料、足友会会員が描いた原爆の絵や短歌、被爆証言などを展示。会場の一角では「にんげんをかえせ」「はだしのゲン」などのDVDを上映しました。
 7日午後には「被爆体験の証言と音楽のつどい」。3人の被爆者が証言し、音楽の部ではアンサンブルジェニーの合唱、ソプラノの笹谷信子さんの歌、子どもたちの歌、全員合唱と盛りだくさんでした。
 期間中およそ1600人が参加。「平和の木」には165枚のメッセージが貼りつけられました。(藤澤汎子)

広い空間を利用した展示。ついたてに展示された原爆展パネル、座席のある机に自由に閲覧できる状態で置かれた資料類など。多くの人がパネルや資料を閲覧している。
展示会の全景(足立)

市の平和展に参加、被爆証言も 八王子・八六九会

1945(昭和20)年8月2日の八王子空襲に合わせ、2014年も8月2日をはさんだ5日間、八王子市主催の「第29回平和展」がJR八王子駅前の東急スクエア(学園都市センター)で開かれました。テーマは「こどもたちに伝えたい この想い」。5日間の入場者は約1300人でした。
 八六九会も広島平和記念資料館から借りた「ヒロシマ・ナガサキ原爆写真ポスター」を展示し、好評を得ました。
 「被爆語り部」を期間中に2回開き、会長の中西靖之さん、前会長の伊藤雅浩さんの生々しい体験談に子どもたちが真剣に聴き入っていました。スーダンから来日中の女子学生も訪れ、質問責めにあう一幕もありました。
 2015年はいよいよ被爆70年。様ざまな講演会などを計画しています。(高倉勝弘)

大きいホワイトボードに資料を掲示しながら語る「語り部」と、満席の会場。若い聞き手が多い。
「被爆語り部」の参加者(八王子)

平和行進、写真展などを共同で 墨田折鶴会

 墨田折鶴会がとりくんだ夏の平和活動のスタートは、梅雨明けの暑い7月24日の平和行進。5月に北海道礼文島をを出発した原水爆禁止国民平和大行進が東京に到着し、墨田区内の行進に参加したものです。広島型原爆の原寸大模型を展示しながら行進しました。
 2014年も、東京大空襲被害者のみなさんたちと共同で、「第19回すみだ平和・原爆写真展」を8月12日から15日に開催。期間中は毎日、被爆証言をおこないました。来場者は583人。被爆証言を聞いたのは63人でした。
 行事ではありませんが、「東京土建しんぶん」8月5日号の「風化させてはならない69年前の夏」という2ページにわたる平和特集で、墨田折鶴会が取材を受け、大きく紹介されました。(湊武)

スローガンの書かれた横断幕の貼られた、長さ3メートル程、高さ1メートルほどの台車の上に、「リトルボーイ」と仮名書きされた原寸大の原爆模型が乗っている。行進の隊列は台車の前後に続いている。
原爆の模型を展示して行進(墨田)

2会場で原爆展、印象的な感想文も 武蔵野けやき会

 武蔵野けやき会は8月7日から15日まで原爆展を開催。会場は、前半が武蔵境駅前の「プレース」、後半が市役所ロビーでした。とくに前半は、武蔵野市に存在した中島飛行機工場の写真と原爆の写真を半分ずつ展示。両方を見る来場者でにぎわいました。11日には別室で映画「アオギリにたくして」の上映と講話があり、こちらも盛況でした。
 来場者にお願いした感想文では、中学生が美しい字としっかりした文章で「これから広島へ行くので、その前にこの展示会を見られてよかった」と書いていたのが印象的でした。(梅岡功)

武蔵野市役所ロビーでの展示。ついたてに原爆展パネルが掲示されており、通路を挟んで置かれた小さいテーブルの上にも資料がある。原爆展パネルを閲覧する人たちがついたての前をうめるように列を作っている。
上映会後も展示を見る人(武蔵野)

恒例の2大行事に2014年も全力 杉並光友会

 2014年で15回目となる「すぎなみピースフォーラム2014」が8月1日から3日間、区立産業商工会館で開かれました。杉並光友会は実行委員団体として参加。「原爆と人間」展、広島原爆「リトルボーイ」の実物大模型や証言活動の写真などを展示しました。「被爆者人間シリーズ」では、2013年7月に亡くなった長崎の山口仙二さんの略伝とその死を大きく報道した長崎新聞を展示。入場者は約500人でした。
 杉並区役所ロビーでの「原爆と人間」展は2014年で8回目。8月11日から16日まで開き、来場者は約800人。会で作った原爆資料を配布し、参観者には杉並光友会の役員が語りかけて説明・懇談しました。女性役員による折り紙コーナーが好評で、多くの母子が熱心に折り鶴などを折っていました。(吉田一人)

「すぎなみピースフォーラム2014」でおこなわれた企画のうち、ホールでの、スクリーンに資料を投影しながらの講演あるいは学習会の様子。
ピースフォーラム(杉並)

小学校での証言など多彩に 葛飾・葛友会

 7月5日に道上小学校の6年生4クラスで児童150人と先生、父母を前に被爆証言。葛友会理事が7人参加ました。17日には南奥戸小学校の平和集会に理事6人が参加。全校生徒による集会のあと、5、6年生との懇談では児童たちの質問に答え、当時の状況などを詳しく話しました。この結果が、8月1日に開かれた「非核平和祈念のつどい」での子どもたちの発表につながっています。
 14日からは区主催の原爆展に協力。2014年も梅田保育園の園児のみなさんが鶴を折りに来てくれました。(福瀬芳子)

小学校体育館、舞台下に証言者が座る机と椅子があり、原爆展パネルを掲示したついたてがその脇に立てられている。児童たちは床に直接座って聞いている。
道上小学校での証言(葛飾)

区民と共同で平和のとりくみ 世田谷同友会

 世田谷同友会は2014年も、支援団体ピースアクション世田谷と共催し8月5日から7日まで、世田谷区役所ピロティで「ピースアクション世田谷2014」を開催。3日間で1000枚のチラシを手渡し、60人余が被爆者の証言に耳を傾けました。
 初日は保坂展人世田谷区長が挨拶し、放射能汚染のフクシマの子どもたちを世田谷に招いた報告。2日目は長崎被爆の池田昭さん、3日目は広島被爆の杉野信子さんが体験を語りました。
 7日は午後5時半から世田谷公園に移動して「平和の広場の集い」。灯篭を灯し、平和の祈り像、被爆二世の樹などをめぐりました。 (木村徳子)

区役所の一部が1階部分が柱だけでそのまま屋外となっているピロティ構造になっている。その1階部分空間で行われた被爆証言。語り手にも聞き手にも椅子が用意されており、語り手はマイクを使っている。若い聞き手も多く見える。
ピロティでの被爆証言(世田谷)

ボランティア・ガイドで語りかけ 中野・長広会

 中野区では、毎夏区内数カ所で「広島・長崎原爆写真展」を開催しています。長広会は近年、独自で原爆展を開催する機会を失ったため、区役所ロビーで開催される原爆写真展のボランティア・ガイドを務めています。この夏は8月5日から15日まで役員7人が交代で参加しました。
 1日平均150人あまりと、2013年より多い観覧者がありました。熱心に写真の解説を求める人もおり、「ちょうど海外から帰国した子どもに見せることができてよかった」とか、「季節を問わず、もっと広範囲に開催してほしい」といった前向きなアンケートが多数寄せられていて心強く思いました。(家島昌志)

ついたてに掲示された原爆展パネル前で、閲覧者に説明をしているボランティアガイド。ガイドであることを示すバッジを胸につけている。
パネルの説明をするガイド(中野)