厚労省 原爆症認定制度「検討会」 事務局主導の現状維持路線に批判
日本被団協・田中委員の意見で空気一変
原爆症認定制度の在り方に関する検討会の第10回会合が2012年3月28日、厚生労働省省議室で開かれました。
会議の冒頭、神野直彦座長は、厚労省事務局が準備した「論点整理」に従って検討を進めたいと発言しました。
これに対して田中煕巳委員(日本被団協事務局長)は、亡くなった森亘前座長が「検討会は、事務局主導ではなく検討会委員の意見に従ってすすめるようにしたい」といっていた言葉を読み上げて、事務局の提案は現制度の存続を前提にしており、これでは司法判断と行政判断の食い違い(乖離)は永久に埋まらないと発言。委員の意見を主体に会の運営を図るべきだと述べました。その上で田中委員は、日本被団協の「原爆症認定制度についての提言」と、日本被団協がまとめた論点整理を約40分にわたって説明しました。
この田中発言で検討会の空気は一変。「放射線起因性を原爆起因性と定義を変えることはできないか」「放射線起因性だと福島原発に広がることも考えられる」など、事務局案にとらわれない発言が各委員から飛び出しました。
さらに、「制度を弾力的に運用するとか根本から考え直すこともある」「グレーゾーンをつくるのも魅力的」「原爆という悲惨な経験への精神的・心理的なことへの手当という考えもできる」「財源に限度があるから救済しないというのは順序が違う」などの意見・提案が相次ぎました。これらの意見を厚労省がどうまとめるか注目されます。
次回は4月26日午後1時から3時まで。この日に、日本被団協は厚労省前行動を予定しています。