被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 画期的判決つづく 際立つ審査の問題点

千葉二審 放射線起因性の範囲広げる

 2009年3月12日、東京高等裁判所は、千葉第1次訴訟の原告4人のうち、「新しい審査の方針」でも認定されていないC型肝硬変と心筋梗塞の原告2人を認定するという画期的な判決を言い渡しました。
 C型肝硬変の原告は、長崎の4.1キロで直接被爆した後、翌日、爆心地から1キロ以内に入市。心筋梗塞の原告は広島の1.7キロで直接被爆し、「新しい審査の方針」の「積極認定」の範囲にあります。判決は、「放射線によりDNAが損傷してガンが発症するという前提事実が存在するなら、ガンほど顕著でなくても、心臓疾患、脳卒中、肝疾患などについても低線量被爆でも障害が起こりうる統計的な解析結果が得られている」と明言しました。2008年4月から厚生労働省がすすめてきた認定審査に重大な異議をつきつけるものです。現に厚労省が「積極認定」するとした心筋梗塞では、長崎の1.3キロで直接被爆した東京の原告すら認定していません。

「全員勝訴」の文字を掲げる弁護士と、その隣に並ぶ原告ら。手渡された花束を抱え片腕を上にあげた原告の後ろで、支援者たちも手を挙げて喜びを表している。
勝利判決に喜ぶ千葉の原告と支援者たち
(写真提供:日本原水協)

広島一審 誤った審査に賠償も認める

 さらに2009年3月18日には、広島地方裁判所が、第2次訴訟の原告のうち「新しい審査の方針」で認定されていない7人について、判決を言い渡しました。白内障、ケロイド、食道ガンの術後障害など5人を認定し、喫煙者の肺ガンなど2人について棄却したものです。広島地裁判決で画期的なのは、この集団訴訟で初めて、3人の原告について国家賠償を認めたこと。医療分科会の判断基準が被爆者援護法の解釈と相容れない場合は、それを是正することが厚生労働大臣の義務であると明記されています。