東友会医療講演会 中澤医師「被爆者はもっと怒って語って」
2004年度第2回医療講演会が2005年3月26日、「精神科の診察室で見た被爆者の実状」をテーマに品川区中小企業センターで開かれました。講師は代々木病院精神科で、長年被爆者の診察にあたってこられた中澤正夫先生。42人が参加しました。
中澤先生は、被爆から60年間の被爆者の精神医療にふれ、ユーモアをまじえながら被爆者の「こころの病」について講演しました。
先生は、「被爆者の心気的な訴えや気力が出ないという症状は『原爆ぶらぶら病』という病名で知られたが、これは低線量被曝と体内残留放射能による影響であって精神病ではない」と説明。「神戸の震災以後に日本でも有名になったPTSD(心的外傷後ストレス障害)を、すべての被爆者は持っている。こころの傷のために体験を語ることができないでいる。被爆者はあの日をみつめたまま後ろ向きの前進をし、罪の意識の同心円をえがいている。体験を語り次の世代に同心円を広げていくことも大切」、と話しました。
最後に「被爆者はよくぞ60年頑張って生きてきたとたたえあってほしい。そして、もっとキレてください。あの日の出来事をもっと怒って欲しい」と訴えました。
参加者から、「被爆者の心の思いをよくくんでくださり、うれしい講演でした」、「ユーモアの中にも、先生の怒りが強く心に残りました」という感想が多数寄せられました。